赤ちゃんの肝臓病

乳幼児肝疾患は他にも「乳児肝炎」「胆道拡張症」などがあります。内科的治療で改善する病気もあれば、「劇症肝炎」など、一刻も早く治療をしないと命に関わる病気もあります。便色を観察することによって、発見されることもあります。

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乳児肝炎(新生児肝炎)とは?

乳児肝炎(新生児肝炎)とは?(劇症肝炎含む)

 なんらかのウィルス感染、または原因不明な肝炎を起こす事があります。これは血液検査によって、肝機能の数値や肝炎ウィルスの抗体価(IgM)が上昇したりすることにより、 判明できます。また、原因不明で起きる劇症肝炎は、初期は風邪の様な症状を見せる場合もあります。この場合、胆管系の構造は保たれているので、胆道シンチで造影すれば区別できます。
 乳児肝炎の場合は、内科的治療が主となります。お薬を飲み、経過観察をします。劇症肝炎の場合は、肝臓の細胞が急速に破壊されてしまうので、肝移植する可能性が高いです。

【参考】乳児黄疸ネット:新生児肝炎

先天性胆道拡張症とは?

先天性胆道拡張症とは?

 先天性胆道拡張症は、先天的に肝臓と十二指腸との間にある胆管が拡張している病気です。胆道が拡張しているために、胆汁の流れが悪くなり、黄疸や白っぽい便、お腹にしこりを触れるといった症状がおこります。子どもの時に見つかることが多い病気ですが、成人してから発見されることもあります。

【参考】小児外科学会:先天性胆道拡張症
【参考】乳児黄疸ネット:先天性胆道拡張症

門脈圧亢進症とは?

門脈圧亢進症とは?

 門脈は,腸管からの静脈(上腸間膜静脈と下腸間膜静脈)と脾臓からの静脈が肝臓に流れ込む大きな静脈の通り道です(図)。
 肝臓に運ばれる血流の3割が肝動脈から、7割が門脈を経由して運ばれます.この多くの血流を肝臓に運ぶ門脈の流れが悪くなると門脈の圧が高くなります。門脈圧が高くなると血液が脾臓にたまって脾臓が大きくなったり(脾腫)、食道を経由して心臓に流れる血流が増えて食道の静脈が拡張したり(食道静脈瘤)、静脈から血液中の血球以外の成分(獎液)が漏れ出てお腹にたまる(腹水)が発生します.
 原因としては、肝前性(肝臓に流れ込むまでの門脈の障害)、肝内性(肝臓内の門脈路の障害)、肝後性(肝臓から心臓までの静脈路の障害)の3種類に分類されています。もっとも多い原因は、肝前性の場合で、先天性に門脈が細かったり一部しかできていない場合で、特発性門脈圧亢進症と呼ばれています。肝内性で多いのは、肝硬変です。肝細胞が障害され傷んだ部分が線維でおきかわり肝臓自体が固くなり、門脈の血流を十分に受け入れることができなくなります。肝後性とは、肝静脈から心臓までの流れが悪くなり、肝臓からでてゆく門脈が肝臓にたまってゆく状態です。

【参考】小児外科学会:門脈圧亢進症
【参考】つなごう医療・中日メディカルサイト:門脈圧

アラジール症候群とは?

アラジール症候群とは?

 アラジール症候群は、10万人に1人の割合で起こる常染色体優性遺伝疾患で、染色体20p12、又は1p13-p11の変異(欠損)が原因だといわれています。遺伝子疾患のため 両親や祖父母から受け継ぐ場合もありますが、突然変異でも起こります。
 主な症状は 肝機能・形態学的異常、心血管系異常、骨格系の異常、眼科的異常、特異な顔貌で、5つの症状のうち1つでもあてはまれば診断されます。その他に腎臓疾患、成長遅延・障害、発達遅延・障害、知能・知的障害を伴うこともあります。 患者数が少ないため、患者を診たことがない医師や病気を知らない医師も多く、また症状や程度には個人差があり、診断されるまでに長時間かかったり、誤診や間違った治療をされることもあります。
 治療法は、肝移植、カテーテル、投薬、食事療法、運動制限など個々に対応しなければなりません。肝臓移植の際は、ドナーの遺伝子検査が必要になる場合があります。また、心臓や腎臓など他にも疾患があるため、肝臓移植を受けたくても、他の疾患の程度によって肝臓移植を受けれないことがあります。
 平成17年4月から小児慢性特定疾患の対象となり、少しづつ世間でも認められるようになってきました。

【参考】乳児黄疸ネット:Alagille症候群(AGS)

先天性門脈欠損症とは?

先天性門脈欠損症とは?

門脈とは消化管から肝臓へ流れる血管で、この血管が細い、又は欠損していて、他の静脈へつながって(肝臓をバイパスして)しまっている先天性の異常を、門脈が欠損していることから先天性門脈欠損症といいます。(「門脈閉塞症」ともいうようです)発生率がまだ定義出来ないほど、稀な難病です。

こちらのサイトで門脈欠損症についての情報提供をしております。

【参考】先天性門脈欠損症

シトリン欠損症とは?

シトリン欠損症とは?

 シトリン欠損症は、SLC25A13遺伝子異常による先天代謝異常症であり、成人発症Ⅱ型シトルリン血症(CTLN2)とシトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞(NICCD) に分類されます。ここでは新生児肝内胆汁うっ滞(NICCD)について述べます。
 シトリン欠損症は、乳幼児期に発症すると、閉塞性黄疸・淡黄色便または灰白色便・体重増加不良など、胆道閉鎖症と非常によく似た症状が見られます。そのため、胆道閉鎖症との区別(鑑別)が大事です。血液検査だけでは、胆道閉鎖症とシトリン欠損症の区別はできません。シトリン欠損症の場合、肝生検で脂肪肝の有無を調べたり、遺伝子検査などをする必要があります。
 シトリン欠損症は軽症の場合は、特殊ミルクなどの食事療法、薬の服用や脂溶性ビタミンの補充などで経過観察するお子さんもおられますが、稀に肝移植するお子さんもおられます。

【参考】乳児黄疸ネット:シトリン欠損症(NICCD)

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