HOME > 胆道閉鎖症

 日本では、一万人に一人の割合で生まれてくる病気です。原因はまだ解明されておりません。肝臓内、もしくは肝臓の外にある胆汁の通り道(胆管)が、なんらかの原因によって部分的、または全体的に閉鎖してしまい、胆汁が腸内へ流れない病気です。胆汁は脂肪の消化・吸収を助ける働きがあり、これが流れないと、脂肪、脂溶性ビタミンの吸収障害がおき、血液の凝固能力が働かなくなります。これにより、内出血、特に小さい赤ちゃんは脳出血などの合併症などを起こします。また、胆汁が肝臓にうっ滞することにより、肝機能障害があります。

 胆道閉鎖症は大きく、三つの症状が出ることがあります。すべてが同時に出るお子さんもおられれば、一つや二つしか出ないお子さんもおられます。また病気の進行状況は人それぞれなので、症状が出る時期もまちまちです。

(1)薄い色のうんち
 胆道閉鎖症は胆汁が腸に流れない、もしくは流れにくくなる病気です。胆汁はうんちの色の元でもあり、腸に流れないとうんちの色が薄くなります。医療サイトや育児書には「灰白色便」、または「白っぽいうんち」と表されることが多いのですが、実際に患児の親が目にしたうんちの色は、薄い黄色・薄い緑色・レモン色・メロンパンの色・クリーム色・薄いうぐいす色など、「薄い色」と言い表されることが多く、必ずしも「白い」色ではありません。
 また、今までは医療従事者が問診の際に聞く「うんちは白っぽいですか?」の「白」も、親が考えている「白」も、「色としての共通基準」がありませんでした。2012年4月からは、母子手帳に便色カードが収載されたので、医療従事者と保護者の間で、共通基準の色が示され、より早く病気の発見に繋がることに期待しております。

(2)黄疸がでる
 胆汁が流れないため、ビリルビンが体外へ排出されず、血液の中に溶け込み、体内を循環します。そのため、皮膚に黄疸が出たり、白目の部分が黄色く(黄染)なります。しかし、新生児には新生児黄疸と母乳性黄疸があり、胆道閉鎖症によって引き起こされる「病的黄疸」と区別が付きにくいため、黄疸が出ていても、見落とされることがよくあります。母乳性黄疸と言われても、大抵母乳をとめたり、成長とともに引いていきますが、一旦引いた黄疸が再度出てきたり、どんどん強くなって黒ずんできたりしたら、かかりつけ医にご相談ください。

(3)濃い色のおしっこがでる
 胆汁が流れず、うんちより体外へ排出されないため、尿から体外へ排出されるようになります。そのため、一般の赤ちゃんの尿は無色透明ですが、胆道閉鎖症や肝疾患の赤ちゃんは、尿が濃い黄色や茶色、またはウーロン茶の色みたいに色がついたり、濃くなったりします。薄い色のうんちや強い黄疸とともに、尿の色も濃くなってきた場合は、一刻も早くかかりつけ医を受診してください。

(1)採血
 採血によって、ビリルビンの数値を検査します。ビリルビンとは、体内で役目を終えた赤血球が死んで、赤血球の中のヘモグロビンが分解された後の廃棄物です。ビリルビンの数値(T-Bil , D-Bil)の数値が高いと、肝臓や胆道系に問題がある可能性が高いです。

(2)レントゲン
 レントゲンにて、胆のうや胆管の存在を確かめます。新生児の場合は、レントゲンで診られない場合もあります。その場合はエコーや、CTでより詳しく検査します。

(3)エコー(超音波)
 エコーで胆のうの存在や、胆管の存在を確認します。胆のうがなかったり、萎縮していたりすると、確認できないため病気がも疑われます。

(4)CT(コンピュータ断層撮影)
 放射線などを用いて、体を走査し、その結果をコンピュータで視覚的に分析する検査です。X線を使ったり、MRI(核磁気共鳴)など、用いる技術によって呼び方はいろいろあります。

(5)胆道造影シンチグラフィ(胆道シンチグラム)
 放射性物質を体内に投与し、時間を追って、造影していく検査のことです。主に腫瘍や、臓器を調べる時に使う検査です。胆道造影では、肝臓胆道で吸収される放射性物質を注射し、その放射性物質を機械で時間を追って検出します。赤ちゃんは大抵麻酔や睡眠剤を投与され、安静にして検査を受けます。これによって、胆のうや胆道の存在がある程度確認できる場合もあります。

(6)肝生検
 肝臓に針を刺して組織や細胞を採取したり、手術中に肝臓を少し削って、顕微鏡で細かく観察する検査です。血液検査や超音波検査、CT検査とは違い、肝組織を直接観察できるので、最も確実な検査法の一つとされています。ただ、リスクも伴う検査なので、赤ちゃんにはあまりされません。手術中にする事が多いです。

(7)十二指腸液検査
 鼻からカテーテルを十二指腸まで通し、 腸液を採取して、胆汁が分泌されているかを検査します。そのため、検査前と検査中は絶食します。
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 胆汁は肝臓で作られ、胆管を通って胆のうに貯まり、食事をすると胆のうが収縮して、腸へ胆汁が流されます。胆汁は食物の中の「脂肪」を分配し、吸収しやすくするはたらきがあります。胆汁は「胆汁酸」と「胆汁色素」に分けられます。
 「胆汁酸」は脂肪を小腸で吸収されやすいように働きかけます。そしてこの胆汁酸は小腸でまた吸収され、肝臓に戻されます。

「胆汁色素」は破壊された赤血球から出来たヘモグロビンのうちヘムという成分が肝臓でビリルビンに変化します。このビリルビンはうんちの色にもなり、便によって排泄されます。
 肝臓の病気などで胆汁が排出されないと、肝臓の中に溜まっていき(うっ滞)、やがて肝臓が硬くなってしまいます。これを胆汁うっ滞性肝硬変といいます。また、腸へ流れる胆汁が不十分だと、腸内の食物の脂肪分が体内にうまく吸収できなくなります。そうなると「脂溶性ビタミンの吸収障害」になり、ビタミンK欠乏症などになります。
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 胆道閉鎖症は、胆汁がうまく腸まで流れないので、色の元となる胆汁のシャワーを浴びられません。そうすると、便の色が「薄く」なります。よく、育児雑誌での赤ちゃんの病気特集では、「灰白色の便」や「白い便」と書かれてますが、胆道閉鎖症の子どもの親の経験から言わせてもらいますと、「厳密には」不正確です。
 実際閉鎖の状態も肝内や肝外で完全に閉鎖している子もいれば、狭くなり、微かに胆汁が流れている子もいます。また、胆管が閉鎖していく時期は赤ちゃんそれぞれで、生後すぐに閉じる子もいれば、徐々に閉じていく子もいます。そのため、色のない「灰白色便」や「白っぽい便」ではなく、薄っすらと色がついている便のことが多かったり、徐々にうんちの色が薄くなっていく子どもも多いのです。
 どのような色の便が異常なのか?母子手帳をお持ちの方は、収載されている便色カードを参考にして下さい。

胆道閉鎖症の子うんちの色は、かならずしも「白っぽい便」とは限りません。胆道閉鎖症の子の親のうんちに対する体験談も合せて、ご覧下さい。
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 この病気は黄疸・淡黄色便または灰白色便・ビリルビン尿など、目に見える症状が出ますが、母乳性黄疸、乳児嘔吐下痢症(ロタウイルス・ノロウイルス)などと間違えられやすいのも事実です。十数年前から松井陽医師(現・国立成育医療研究センター病院長)が、便色カラーチャートを載せたカード(便色カード)を考案し、一部の自治体や海外で導入され、一定の成果を上げました。その後、便色カードに改良が加えられ、2012年度より日本全国でも母子手帳へ収載され、医療従事者と保護者がカードを用いて便の色を観察することによって、早期発見されるようになりました。
 また、ほかにもUSBA測定検査と言う、新生児の尿を採取し、分析する検査もありますが、検査結果まで出るのに時間が1週間〜10日間ほどかかるのと、擬陽性の場合もあり、まだ検査としての成果は確定されておらず、導入している自治体も少ないのが現状です。
 便色カードは導入コストが比較的安価で、またツールとして一般の保護者でも使用できること、便色を観察することによって肝疾患のみならず、消化器系疾患への注意喚起の効果もあることから、現在において、胆道閉鎖症を早期発見する最も有効な手段であると私たちは思います。

 胆道閉鎖症の子どもは皮膚の色が黄色くなったり、白目の部分が黄色味を帯びてくる「黄疸」が出ます。しかし、難しいのは、この胆道閉鎖症による「黄疸」は、「新生児黄疸」や「母乳性黄疸」と見分けがつきにくいのです。
 「新生児黄疸」や「母乳性黄疸」とはなんでしょうか?
 赤ちゃんがまだ母親の体内にいた時、胎盤を通して酸素を取り込むために沢山の赤血球を必要とします。(注:赤血球=酸素を運ぶ働きがあります。)しかし、赤ちゃんが産まれて、自力で呼吸を始めると、肺から酸素を取り込めるようになるので、それほど赤血球は必要なく、余分な赤血球は破壊されます。そして赤血球が破壊される時に「ビリルビン」が出ますが、肝臓の働きがまだ未熟なので排出されず、血液の中に溶けこみ、皮膚が黄色味をおびて、黄疸となります。これが「新生児黄疸」と呼ばれるものです。これは生後2日~4日にかけて見られます。大抵の赤ちゃんは、肝臓が動くようになり、徐々に黄疸が引きますが、あまりに黄疸の数値が高いと、核黄疸といって、脳に損傷をあたえるので、光線療法や交換輸血で治療をします。
 「母乳性黄疸」は「新生児黄疸」とはまた別のもので、母乳を飲んでいる赤ちゃんに出ます。母乳の成分に含まれる脂肪酸には、ビリルビンを水溶性に変える酵素の働きを抑制する働きがあります。(ビリルビンを水溶性に変えることによって尿から体外へ排出します。)その為、母乳を飲んでいる子は、生後一週間から一ヶ月にかけて、黄疸が出やすくなっています。長引くときは生後二ヶ月まで黄疸が続く場合もあります。これが「母乳性黄疸」です。母乳性黄疸は特に治療の必要はないのですが、胆道閉鎖症や肝臓疾患からくる病的黄疸となかなか見分けがつきにくいのです。胆道閉鎖症の発見が遅れる原因の一つに、「病的黄疸を『母乳性黄疸』と間違われた」ことがよくあげられます。 
 だからと言って、「母乳が良くない」というわけではありません。しかし、一部では「母乳至上主義」にも近い考えがあり、ミルクを真っ向から否定する人もいます。しかし、体調などの関係で母乳の出が悪い方も中にはおられます。母乳で哺乳しないと母親失格などと思い込む必要はないと思います。
母乳は確かに栄養が良いのですが、ビタミンKにつきましては、母乳哺育ですと、不足する可能性があります。その為、現在ではビタミンK2シロップを生後二回、一ヶ月健診の時に一回、計三回赤ちゃんに投与しています。
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 区別するには、採血するのが最もはやい方法です。採血して、直接ビリルビン(D-Bil*)の数値を測れば、病的黄疸か母乳性黄疸かがある程度わかります。直接ビリルビンの数値が高いと、肝臓・胆道系疾患が考えられるからです。(ちなみに産院などで、新生児のおでこにつけて黄疸を測るのは総合ビリルビン(T-bil*)ですので、それだけでは、黄疸が母乳性黄疸なのか、病的黄疸なのかは区別できません。)母乳性黄疸ではないと分かれば、胆道閉鎖症や新生児肝炎等の肝疾患を疑うので、早急に小児外科のある総合病院/大学病院に搬送し、精密検査をうけます。
 ただ、残念ながら生後まもない赤ちゃんを採血してくれる医師はなかなかおられません。黄疸が長引き、それが不安で小児科医を受診しても、大抵は「母乳性黄疸です」と言われて、「もう少し様子を見ましょう。」と帰されることが多いと思います。肝ったママは、黄疸が長引き、ウンチの色が薄いと感じた場合は、「ウンチのついたオムツを持って受診してください」と呼びかけてます。黄疸だけでは「母乳性黄疸」と判断されることが多いですが、これに「ウンチの色」が怪しい?となれば、小児科医は「胆道閉鎖症・新生児肝炎」を念頭に診察してくださる可能性が高まるからです。また、気になる方は、「肝ったママ式チェックシート」を持って小児科医を受診してください。
 健康な赤ちゃんは、赤みを帯びた白い肌です。だから「赤ちゃん」と言うのですね(^^)黄疸は毎日見慣れてくると、なかなかわかりにくいのですが、産院での健診の時などに、他の赤ちゃんと肌の色を見比べてみるのもいいかもしれません。

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 黄疸は肌の色だけに出るわけではありません。黄疸の色のもととなるビリルビンが血液によって体内を駆けまわるので、白目の部分が黄色くなること(黄染)があります。
 また、尿にビリルビンが排出されるので、尿が黄色くなることもあります。オムツなどに付いた尿が時間が経過した後、うっすらと茶色っぽくなっていたり、黄色くなっていた場合は注意が必要です。(注:赤ちゃんの尿はほぼ無色透明です。ただし、脱水気味の時は尿の色が濃くなりますのでご注意下さい。また尿の色で代謝疾患・腎臓疾患が分かる時があります。おかしいと思った場合はかかりつけの小児科医に相談してください。)
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 胆道閉鎖症は、胆汁がうまく腸まで流れないので、脂溶性ビタミンの吸収が困難になります。「脂溶性ビタミン吸収障害」になると、ビタミンA.D.E.Kなどが吸収されなくなります。その中でも「ビタミンK」の吸収が少ないと、「ビタミンK欠乏症」になり、内出血を起こしやすくなります。
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 ビタミンKが不足すると、どういったことが起きるのでしょうか?一番怖いのは「内出血」です。特に赤ちゃんの場合は脳の血管が細いので、脳内出血のリスクが高まります。また、慢性的に不足するとカルシウムが定着しにくいので、骨がもろくなり骨粗鬆症や骨折の危険性があります。一般的に、赤ちゃんには母乳での哺育が望ましいとされますが、母乳の中にはビタミンKは不足しがちで、また、産まれたばかりの赤ちゃんの腸内細菌は、まだ必要なビタミンKを充分に作り出せない場合もあるため、現在日本では、出生後から一ヶ月健診にかけて、経口によるビタミンK2シロップの三回投与を国で義務付けられております。粉ミルクには人工的にビタミンKが配合されているので、完全母乳哺育の赤ちゃんよりはビタミンKの不足の心配は少ないと言われます。
 2009年に赤ちゃんにK2シロップを投与していないことにより、脳内出血をして亡くなった事件がおこりました。(山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故などで検索すれば、内容がわかります)こちらの事件自体に関しましては、肝ったママの活動とは関係有りませんので、詳しくは述べませんが、K2シロップ未投与によるリスクが実はとても高いことだということを知ってもらいたいと思います。
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 胆道閉鎖症は、生後すぐ、もしくは生後から少しずつ進行する病気なので、昨日まで普通だった赤ちゃんの便が、急に真っ白になった場合は、「ロタウイルス」や「ノロウイルス」によって引き起こされる、「乳幼児嘔吐下痢症」の可能性があります。激しい嘔吐や白い便・下痢が引き起こされる病気です。胆道閉鎖症とは違いますが、こちらも急激に脱水等を引き起こし重症化ますので、早急に小児科医を受診してください。現在は「ロタウイルスワクチン」もあります。ワクチン接種することで重症化を防げます。

 もし、お子さんの「便の色が薄い」「黄疸がひどいみたい」「おしっこが濃い」など、気になる症状が出た時は、「うんちのついたオムツ」を持って小児科を受診してください。2012年4月以降の母子手帳をお持ちの方は、母子手帳内の便色カードと見比べて、「便の色がうすい」こと、その他気づいた症状などを医師に伝えて下さい。たとえ、一ヶ月健診の時は異常がなくても、その後変化があった場合は、次回の健診まで待たずに受診することをお勧めします。2012年3月以前の母子手帳には、地域によっては「便色カード」はありません。肝ったママホームページの「便色カード」のページにある台湾の便色カードを参考にしてください。(モニターによって色の発色が変わるので、「あくまでも参考程度」にしてください。)トップページにある肝ったママ式チェックシートをダウンロードして当てはまる症状にチェックし、「うんちのついたオムツ」とチェックシートを持って、小児科を受診してください。

 胆道閉鎖症は、「小児外科」で治療する病気です。一番の理想は「小児外科」で診てもらうことですが、「小児外科」は大抵大学病院か総合病院にしかありません。「大学病院」や「総合病院」で出産していれば、主治医に診てもらい、転科紹介してもらえますが、紹介状なしに直接小児外科を受診すると、大抵「初診料」を取られます。(5,000円〜幅はあります)受診のおすすめとしては、小児外科>小児外科がある総合病院・大学病院の小児科>小児科クリニックの順です。小児外科のある病院は、日本小児外科学会のホームページで一部リンク紹介してます。

 初めて子育てをする母親にとっては、黄疸はどの状態が異常なのか?便の色は何色がおかしいのか?まったくわからないことばかりです。巷にある育児雑誌に赤ちゃんの病気についての説明等はありますが、正直2~3時間置きの授乳、その合間のオムツ替え等々すべてが初めての母親には、あまり育児雑誌をのんびり読む余裕はないと思います。そうすると「一ヶ月健診」というのは、一つの重要な機会だと思います。しかし、一ヶ月健診の頃はまだ母乳性黄疸が出ている時期であり、完全ミルクでもない限り、仮に赤ちゃんに黄疸があったとしても、ほとんどの小児科医は「母乳性黄疸でしょう」と言う診断を下すと思います。そして便の色が胆道閉鎖症を疑われるような薄い色であっても、「白」ではないということで見落とされる可能性もあります。親もそんなものだと思うと、安心してしまいます。
 そして次の「三ヶ月健診(もしくは四ヶ月健診)」まで、よほどの事がない限りは、親も小児科医に赤ちゃんを見せることはほぼ皆無と言っていいでしょう。しかし、この「三ヶ月健診(もしくは四ヶ月健診)」までの間に胆道閉鎖症のお子さんは、胆道が閉鎖していったり、胆汁が腸まで排泄出来ず、便の色が薄くなっていったり、皮膚が日に日に黄色くなり、白目の部分まで黄色くなったりします。ところが「毎日観ている母親」には、そういう変化を「目の慣れ」が邪魔をして見逃してしまう…そういう可能性も非常に高いです。
 では、おかしいと思い、病院に連れて行って、すぐに「胆道閉鎖症」との診断が下るのでしょうか?残念ながらそれはありません。大抵の方は、産まれたばかりの赤ちゃんの様子が気になると、産まれた産科が入っている総合病院の小児科や、近所の小児科クリニックに行かれると思います。小児科医が「胆道閉鎖症」について詳しい先生や臨床経験のある先生なら、黄疸の状態、便の色を観察すると思います。
 しかし、この時期は「母乳性黄疸」の出る時期でもあり、また便の色についても、医師と親の間で共通の「基準」となる色がなく、難病ゆえ、臨床経験のない医師が多く、医学書の「灰白色便」が症状だと思い込み、薄い黄色や薄い緑色の便を医師も見逃してしまう可能性もあります。胆道閉鎖症は「小児外科」で治療する病気なので、町の「小児科医」で見落とされる可能性が高いのです。その為に、医師と親の共通基準である「色」を便色カードによって補おうとして、2012年度から便色カードの導入が決められました。
 発覚しづらく、そして診断しにくい、これがこの病気の落とし穴です。
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 胆道閉鎖症は1万人に一人という割合なので、なかなか同じ病気を持ったお子さんは周辺には居られないと思います。でも、病気について話を聞きたい、保育園・幼稚園・学校生活とかどうしているんだろ?、他の病院ではどんな治療しているんだろ?と、知りたいことは沢山あると思います。
 国内の著名なソーシャルネットワークサービス(SNS)の「mixi」には、そんな親御さんや患者ご本人が集まっているコミュニティがあります。
 「胆道閉鎖症コミュニティ」と「胆道閉鎖症<別館>コミュニティ」です。「胆道閉鎖症コミュニティ」は以前からありましたが、現在新規加入ができません。代わりに「胆道閉鎖症<別館>コミュニティ」がありますので、気になる方は参加されると良いかと思います。