こちらでは、胆道閉鎖症の葛西手術を行ない、減黄して退院した後の生活について書いております。症状や経過は人それぞれですので、あくまでも参考にしてください。個別の症状や経過については、主治医にお聞きください。

 患者の治療は主治医とよくご相談ください。

どんな手術をするの?

どんな手術をするの?

葛西手術図解.png

 胆道閉鎖症では肝門部空腸吻合術という手術を行います。これは東北大学の故・葛西森夫医師が1950年代に考案したもので、葛西手術と呼ばれております。この手術は、胆道閉鎖症に対する初期療法で、肝臓の一部を削り、そこに小腸をつけて、胆汁を腸内に排泄するようにする手術です。

ba2.gif葛西手術の術式(小児外科学会HPより)

手術をすれば、治るの?

手術をすれば、治るの?

 肝移植が発達する前は、葛西手術は唯一の治療法とされました。それまでは胆道閉鎖症の赤ちゃんのほとんどが1才までには命を落としておりましたが、葛西手術が開発されたことにより、生存率が高くなりました。
 しかし、葛西手術による10年生存率は55%前後と言われ、必ずしも「完治」するとは限りませんでした。また、葛西手術は、肝臓と小腸を直接繋げるため、腸内雑菌が肝臓の近くまでいき、炎症を起こす上行性胆管炎という合併症に悩まされる患者さんが多くいました。上行性胆管炎を繰り返すことで、長期の入院生活を強いられたり、肝硬変が進んで命を落とすこともありました。
 その後、肝移植の治療法と免疫抑制剤の開発が飛躍的に進み、今では葛西手術で救えなかったお子さんも肝移植と言う治療方法が選べるようになりました。
 また、葛西手術で胆汁が順調に流れた場合でも、上行性胆管炎を起こしたり、門脈圧亢進症食道静脈瘤などの合併症になる可能性が高いため、患者は定期的に「小児外科」へ通い、血液検査や食道静脈瘤のチェック(エコー・内視鏡検査)などをする必要があります。
【参考】小児外科学会:胆道閉鎖症

手術してもビリルビンが下がりません。

手術してもビリルビンが下がりません。

葛西手術をしても、胆汁がすぐにジャバジャバ出るお子さんと、じわじわエンジンがかかるお子さんもおられます。

 葛西手術は、小腸の一部を肝臓の肝門部に接続する手術(肝門部空腸吻合術)ですが、肝門部を掘った段階では肝臓内にある胆管の確認は難しいようです。それは肝臓内の胆管(肝内胆管)が小さすぎて、目視で確認するのは難しいからのようです。小児外科医も胆汁が滲み出てくるのを確認したり、検査などの結果から胆管が存在していそうな部分と繋げるようにはしてますが、確実に胆汁が流れだすという保証はできません。ですので、術後はステロイドパルス(大量投与)をして、胆汁の分泌を促し、経過を観察するのみです。
 また、葛西手術をした日齢が早ければ、胆汁の分泌が期待され減黄されるという統計(いわゆる60日内の葛西手術)もありますが、胆道が閉鎖していく時期や形態などは人それぞれですので、60日以降でも減黄が順調のお子さんもいれば、早期の葛西手術でも減黄が遅い子がいます。この原因や理由は現在の医学ではまだ解明されておりません。あくまでもデータの蓄積として、「60日内の葛西手術をした場合の成績が良かった」ということです。
 すぐにビリルビンの値が下がり一ヶ月ほどで退院のお子さんもいれば、上がったり下がったりを繰り返して全体の傾向として下がり傾向のお子さんもいます。ですので、採血の結果のたびに、数値に一喜一憂しないようにしましょう。

術後は何かできる事はありませんか?

術後は何かできる事はありませんか?

 術後の経過観察期間は、将来のために準備しましょう。

 術後の回復や胆管炎の予防のために、しばらく絶食が続くこともあります。高濃度カロリー輸液はしているのですが、やはり母乳やミルクをあげられないことは親にとっては辛いものです。
 母乳やミルクもあげられない、医療側もステロイドや利胆剤の投与、点滴補液や採血のみで、ビリルビン値に一喜一憂と親にはかなり辛い時期を過ごします。
 しかし、この時期に親ができる事はいくつかあります。

(1)赤ちゃんとのスキンシップを取る

 入院している子は、普通の子に比べて、日々の刺激が限られてます。そういう意味でも親がスキンシップを取って抱っこしてあげたり、抱っこが出来ない状態ならば話しかけて笑ってあげるなど、そういう「刺激」を与えることも大切です。

(2)病気について知識を蓄える

 減黄して元気に退院する子と、減黄せずに移植となってしまう子とありますが、いずれにしろ病気・病院とは一生付き合っていきます。胆道閉鎖症とは何か、元気に退院したらどのようなことに注意すべきか、移植とは何か、正しく知識を得ることが非常に大切です。難病になると、民間療法や宗教信仰にすがりたくなることがあります。しかし、中には「害にしかならない」民間療法や「弱みにつけ込む」宗教があることも事実です。そういった状況に陥らないためにも、正しく病気を理解することがとても重要です。
 病気について、一番お子さんの状態を知っているのは主治医です。主治医に質問することから始めるのが良いかと思います。

(3)医師との信頼関係を構築する

 胆道閉鎖症とは、減黄して退院しても、移植しても、医師とは一生の付き合いになります。それが小児外科医だったり、移植外科医だったりします。ですので、患者と主治医の間にこれから一番重要なのは信頼関係です。信頼関係とは、お互いを理解することです。医師から告げられた説明や治療でわからないことがあった場合は、きちんと理解できるまで質問するようにしましょう。質問することで、医師も患者側はどこを理解できていて、どこが不明なのかがわかります。なにも反応がないと「理解したんだ」と思われてしまいますので、勇気を出して医師と会話をしましょう。

特殊ミルクってなんですか?

特殊ミルクってなんですか?

胆道閉鎖症のお子さんは、MCTミルクという特殊ミルクを飲むことが多いです。

 胆道閉鎖症のお子さんは、胆汁の流れがスムーズでなかったり、分泌が不十分だったりするため、術後から暫くの間は「MCTミルク」という特殊ミルクを飲みます。MCTミルクとは、Middle Chain Triglyceride の略字で中鎖脂肪酸トリグリセリドのことです。このMCTは胆汁を必要とせずに分解の速度が速く、小腸から直接門脈→肝臓と吸収されるメリットがあります。

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MCTミルクの入手方法については、こちらをご覧ください。
胆道閉鎖症>お役立ち情報>特殊ミルクについて

MCTミルクだと下痢します…

MCTミルクだと下痢します…

主治医と相談して、普通ミルクと混合してみてはいかがでしょう。

 MCTミルクは濃度の高いミルクですので、お子さんによっては下痢を引き起こしやすくなることがあります。そもそもMCTミルクを飲む目的は栄養の吸収により成長を助けるためであるので、下痢ばかりでは栄養の吸収も体重の増加も見込めません。主治医と相談の上、MCTミルクと一般のミルクとを混合して飲ませてみるのも一つの方法かもしれません。

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MCTミルクの入手方法については、こちらをご覧ください。
胆道閉鎖症>お役立ち情報>特殊ミルクについて

葛西術後はいつ退院できますか?

葛西術後はいつ退院できますか?

施設や医師の方針にもよりますが、概ねビリルビン値が1以下になれば退院できます。

 葛西手術の目的は、胆汁を腸内に流し、栄養吸収が出来るようになることです。また、肝臓内に胆汁がうっ滞しているを改善する(減黄)ことですので、採血してビリルビン値が1以下になれば、減黄したと見なし、退院が許可されます。
 退院後は定期的に外来でフォローをします。胆汁がちゃんと流れているか、肝臓内にうっ滞していないかを採血検査やエコーで確認し、問診で肝臓の硬さなども観察します。また、定期的に内視鏡検査を行い、食道静脈瘤がないかを調べ、あった場合には処置をします。
 減黄するまでの期間は、人それぞれです。術直後から胆汁がジャバジャバ出るお子さんもいれば、2〜3ヶ月かけてゆっくりエンジンがかかるお子さんもいるので、根気良く経過観察をする必要があります。

退院した後は普通に過ごせるの?

退院した後は普通に過ごせるの?

 胆道閉鎖症のお子さんは、葛西手術で胆汁が流れ、ビリルビン値が正常値範囲内に落ち着けば退院できます。退院した後も、定期的に小児外科へ通い、採血を行い、肝臓の経過観察をする必要があります。病院とは一生の付き合いになりますが、体調が安定しているからといって、勝手に外来へ行かなくなったりしてはいけません。成長するにつれ、思春期の身体の変化などで、体調を崩す可能性もあります。
 普段の生活では、手洗い・うがいの習慣を身につけさせ、感染症に注意する必要があります。主治医の許可があれば、予防接種を受けることをお勧めします。また、一部の民間療法や巷の治療法には怪しいものもありますので、きちんと主治医の治療を受けましょう。サプリメントや補助食などについては、主治医と事前に相談しましょう。
 運動については、特に主治医から言われていない限りはあまり制限する必要はありません。腹部の強打につながる運動(鉄棒など)は避けた方がよいでしょう。

上行性胆管炎ってなに?

上行性胆管炎ってなに?

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 葛西手術を行うと、肝臓と小腸が直接繋がるようになります。そうなると、腸のなかにいる雑菌(悪玉菌)が肝臓と繋げた管から上がってきてしまい、炎症を起こすことがあります。これを「上行性胆管炎(胆管炎)」といいます。上行性胆管炎になってしまうと、肝臓に負担がかかりますので、入院して絶食し、抗生物質を投与するなどの治療が必要になります。
胆管炎入院.png入院して抗生物質などで治療 胆管炎は熱が出たり、お腹が痛むなどの症状がでます。あまりに頻繁に繰り返されると、胆汁の流れが悪くなったり(便が薄くなったり、白っぽくなる)、肝硬変が進んで、「肝臓移植」になる可能性もあります。胆管炎を確実に予防する手立てはありませんが、便秘をしないように心がけることが大切です。


【参考】小児外科学会:上行性胆管炎

胆管炎は予防できますか?

胆管炎は予防できますか?

 胆管炎は、どういったことがきっかけで起こるのか、まだよくわかっていません。そのため、確実な予防方法はありません。風邪を引いたことによって胆管炎が引き起こされることもあるようですし、術後数年経って初めて胆管炎を起こした例もあります。一つには、便秘をしないことが大切だそうです。胆管炎は腸からの雑菌が肝臓と繋げた部分に上がってきて炎症を引き起こすことがあるため、腸内に便が溜まっていると、胆管炎の引き金になることがあると経験談がありました。快食快便、適度な運動、十分な休息と睡眠、規則正しい生活を守ることが大事です。

熱は必ず胆管炎なのでしょうか?

熱は必ず胆管炎なのでしょうか?

熱だけでは胆管炎かどうかはわかりません。採血する必要があります。

 身体の中に、外部から細菌・ウィルスなどが侵入した時、最初に起こる生体防御反応が発熱です。ウィルスなどは熱に弱いので、発熱することで、身体の免疫がウィルスをやっつけているのです。ですので、熱だけでは、胆管炎なのか、感染症なのかはわかりません。しかし、胆管炎は早期に対処しないと、肝機能に影響します。(また、血管は炎症を繰り返すと脆くなるそうです。)そのため、胆道閉鎖症のお子さんが発熱した時は、まずは小児外科の主治医と連絡し、場合によっては採血をする必要があります。採血の結果次第で、胆管炎と疑われた場合は早期に抗生剤の投与を始めます。

胆管炎の兆候は熱の他にありますか?

胆管炎の兆候は熱の他にありますか?

便の色が薄くなったり、黄疸が出る場合もあります。

 胆管炎にはいくつかの症状があります。

(1)発熱

   発熱は他の感染症との鑑別が必要ですので、採血などをして炎症反応や肝機能を調べます。

(2)便の色が薄くなる

   胆管炎が起こると胆汁の分泌が影響され、流れが悪くなることがあるので、便の色が薄くなる場合があります。

(3)黄疸

   胆管炎で胆汁が流れだすことが出来ないと、ビリルビンが血液の中に流れだし、黄疸となります。そのため、白目が黄色くなったり、皮膚が黄色くなったりします。

(4)腹痛

 年長児以降になると右上腹部などに痛みを訴える場合があるそうです。

以上の症状は、必ずしも毎回出ることとは限りません。また、全部出たり、一つしか出なかったり、熱だけだったりの場合もあります。

胆管炎はどんな治療をするの?

胆管炎はどんな治療をするの?

絶食して抗生剤を点滴します。

 腸管の中の圧を上げないために絶食し、そして抗生剤を点滴します。抗生剤が効いてくれば、数日で熱が下がり、肝機能も落ち着きをみせてきます。食事開始して、特に熱が上がることもなく問題がなければ退院できます。

他にどんな合併症があるの?

他にどんな合併症があるの?

門脈圧亢進症や食道静脈瘤になることがあります。

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 肝硬変が進むと、肝臓が硬くなってきますので、肝臓へ入る門脈の血圧が高くなります。これが「門脈圧亢進症」です。血流は行き場を求めて「バイパス」を作ります。そのバイパスから流れた血が、食道の静脈のなかで「こぶ」をつくることがあります。これが「食道静脈瘤」です。食道静脈瘤は破裂すると、血を吐いたり(吐血)、便に血が交じったり(下血)することがあります。
 病院では、それぞれの状態により、定期的に内視鏡で食道静脈瘤があるかどうか検査します。検査自体は、乳幼児の場合、全身麻酔で10〜20分ほどです。検査した時に静脈瘤が見つかれば、必要に応じて処置をします。食道静脈瘤の検査は、入院することがありますが、処置なしであれば1〜3日で退院できます。

【参考】小児外科学会:門脈圧亢進症
【参考】日本消化器病学会:食道静脈瘤

二回目の葛西手術は必要ですか?

二回目の葛西手術は必要ですか?

二回目の葛西手術を提案された小児外科医の見解をまず理解してみてはいかがでしょうか?

 葛西手術をしてもビリルビン値が下がらない場合、小児外科医から二回目の葛西手術を提案されることがあります。経験者のブログや体験談から、「すぐに移植じゃないの?」「二回目をして移植に影響しないの?」と思われる方もおられると思います。しかし、人体というのはやはり「個々の差」があります。二回目の葛西手術についての考察を以下に述べます。

(1)一回目の葛西手術である程度胆汁が流れた場合

 一回目の葛西手術である程度胆汁が流れたけど、何らかの原因で再度胆汁の流れが悪くなるお子さんがいます。原因は人それぞれですが、再度の葛西手術を施すことで、胆汁の流れが再開できると小児外科医が判断した可能性があります。実際、二回目の葛西手術をして減黄して退院された症例もあります。 

(2)移植を受けるには、まだ体重などが不十分

 一回目の葛西手術で思ったほど胆汁が流れなかったとしても、再度深く肝臓を掘ることで胆汁が流れだすという可能性もあります。そして、何より赤ちゃんが胆汁が流れないことで栄養吸収が上手く行かず、体重の増えが悪い場合は、移植するにはリスクが高くなります。胆道閉鎖症の赤ちゃんは、「6kgの壁」と呼ばれる壁があります。胆汁の流れが悪く、栄養吸収の効率が悪いとなかなか6kgを越えられないことから言われる言葉です。また、よりリスクの低い肝臓移植をするには、7kgを超えていることが望ましいと言われております。ですので、その時間稼ぎのためにも二回目の葛西手術を提案された可能性があります。

二回目の葛西よりも移植した方がいいの?

二回目の葛西よりも移植した方がいいの?

小児外科医の見解を理解した上でも納得いかない場合は移植外科医のセカンドオピニオンを受けてはいかがでしょうか?

 前の項目の部分で説明したように、二回目の葛西手術を提案された時に、小児外科医の見解をまず理解しましょう。その上で、その見解と提案に納得しない場合は、移植外科医のセカンドオピニオンを受けてもいいかと思います。
 移植のタイミングについては、小児外科医と移植外科医で見立てが違う場合もあります。小児外科医がまだ移植するタイミングではないと判断しても、移植外科医が移植した方がいいと判断する場合もあるし、小児外科医がそろそろ移植と思っていても、移植外科医の方でもう少し体重を増やす努力をした方がいいなど、見解が分かれる場合もあります。双方の意見を聞き、理解した上で、ご家族で決断をされる方がよいかと思います。なお、移植外科医のセカンドオピニオンをされる時は、事前に小児外科医にもその旨をお話しましょう。移植をする場合は、小児外科医と移植外科医の連携が必要となります。
 ブログや話に聞く他人の経験はあくまでその人の症例です。お子さんの状態は治療・診察をしている小児外科医・移植外科医の見解を参考にしてください。

セカンドオピニオンとは何ですか?

セカンドオピニオンとは何ですか?

「セカンドオピニオン」は「ドクターショッピング」ではありません。

 セカンドオピニオンとは、直訳すると「第二の意見」と言う意味です。患者さんの診断や治療について、現在の主治医以外の医師の意見を聞く…と言う意味です。この言葉はよく「ガン治療」で見られる言葉です。ガンの治療は色々あり、専門医によって「抗がん剤投与が先」「外科手術が先」など…異なる考えがあります。
 胆道閉鎖症に限ってこの言葉を定義すると、「二回目の葛西手術をするか、あるいはこのまま移植に向けて準備するのか」という場面で使われる事が多いかと思います。人間の身体と言うのは、メスを入れるごとに大きな負担を強いられます。また、癒着が激しくなり、もしその後移植となった場合、癒着が影響する…という考えもあります。(実際に医学的に証明されたわけではありません。)また、どんなに小さな手術でリスクはゼロではありません。ましてや小さい赤ちゃんの身体を何度も手術させるのは、必要と分かっていても、親にはつらいものです。
 しかし、胆道閉鎖症のお子さんで、一回目の葛西手術で順調に胆汁が流れ、そのまま退院し、普段の生活に戻れるケースは、2/3程度と言われております。となると、やはり一部のお子さんは「胆汁が流れなくなり、ビリルビン値が下がらない、もしくは上がってくる」こととなり、肝硬変が進んでしまいます。そうなると、小児外科医としては「二度目の葛西手術をしては」と提案されることがあります。
 今では情報も発達し、胆道閉鎖症には「肝移植」という治療方法があると、胆道閉鎖症のお子さんの親ならほとんどの方が知っています。「二度目の葛西手術をするか」「移植をした方がいいのではないか」、迷いが出てくることが多いです。その時、移植外科医のセカンドオピニオンをするのも一つの方法です。

セカンドオピニオンのやり方を教えて下さい。

セカンドオピニオンのやり方を教えて下さい。

セカンドオピニオンには手順が有ります。

 セカンドオピニオンのやり方としては、
(1)まず、小児外科の主治医から「第二回の葛西手術をする意味」の説明を受け、きちんと理解しましょう。
(2)移植について、自分なりに情報収集をしましょう。場合によっては、移植を希望する医師や病院の情報も収集しましょう。
(3)(1)の内容を理解した上で、小児外科医に「移植外科医のセカンドオピニオンを聞いてみたい」と親の考えを伝えましょう。希望する病院や医師がありましたら、合わせて小児外科医に伝えましょう。
(4)移植を希望する病院や医師が特にない場合は、小児外科医の勧める移植病院や医師を考えましょう。
(5)小児外科医の方で、移植外科医と連絡を取ってくださるのか、ご自身で移植外科医と連絡をするのか、きちんと確認取りましょう。
(6)【ご自身で連絡をする場合】移植外科医の病院で「移植セカンドオピニオン」「移植相談室」などがある場合はそこに、ない場合は移植コーディネーターさんに連絡を取ってみましょう。ほとんどの移植外科はホームページに連絡方法があります。
   【小児外科医が連絡してくれる場合】小児外科医の指示に従って、セカンドオピニオンを受けましょう。
(7)移植外科医とセカンドオピニオンを行ったら、その結果、そしてご自身の考えを後日きちんと小児外科医に伝えましょう。

【参考】国立成育医療研究センター:セカンドオピニオン外来

セカンドオピニオンは何に気をつけるべきですか?

セカンドオピニオンは何に気をつけるべきですか?

小児外科の主治医、セカンドオピニオンの移植医、患者家族の良い連携を意識しましょう。

 セカンドオピニオンで大切なのは、「小児外科医」と「移植外科医」、そして「患者家族」の連携です。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ではありませんが、お互い人間ですので、きちんと連携をとることをお勧めします。
 後日移植を受け、移植した病院が遠方の場合は、通院などを考えて、移植後の定期外来を元の小児外科医の病院で行う場合もあります。(その場合は移植外科医から小児外科医へフォローをお願いしてくれます)そういった可能性もありますし、移植後の体調不良な場合は遠方の移植病院ではなく、小児外科医の病院でフォローをお願いすることとなるので、そういった可能性を念頭に行動すると良いかと思います。
 また、セカンドオピニオンを経験したご家族から、以下のアドバイスを頂きました。

【東北地方Sさんより】
セカンドオピニオンで大事なのは
『セカンドピニオンする病院』
『頑固になるのではなく、ブレない』
『医療関係者以外にキチンと相談に乗っていただける人を見つける』
事だと思います。

 事前にセカンドオピニオンする病院/主治医の情報収集と、情報を柔軟に受け入れつつも意志を家族内で統一し、ソーシャルワーカーや患者家族での経験者談を参考にすることが良いのかもしれません。

移植のタイミングはどんな状態の時ですか?

移植のタイミングはどんな状態の時ですか?

万人に当てはまる回答ではありませんが…

 胆道閉鎖症がわかり、きっと親の皆さんは必死に情報収集していることと思います。そして、「胆道閉鎖症は移植となる事が多い」という情報は、いやでも目に入ります。1/3が一才前後に、1/3が成人までに…と約7割前後の方が成人までに移植となると、気になるのは「うちの子はいつ移植になるの?」と思います。そして、この事が脳裏から離れられず、ひどく心が沈む方も中にはおられると思います。
 肝ったママは医師ではないので、「移植のタイミングはこの時です」と断言することはできません。また、個々の経験が必ずしも皆さんのお子さんにも当てはまるとも限りません。やはり「人体」というのは、とても神秘で数式のように割り切れるものではないので、医師の診断が必要です。そして、移植のタイミングというのは、小児外科医や移植外科医でも見解が分かれる時もあると言われてます。以前は、小児外科医はなるべく自己肝でという考えが多かったらしく、葛西手術を複数回行なったという話も聞きますが、移植手術の周術期管理が向上し、優秀な免疫抑制剤が開発され、全体的に移植手術の成功率・生存率が向上したことと、胆道閉鎖症について、移植医と小児外科医の交流が研究会や学会などでも頻繁に行われたことで、小児外科医から移植医への照会なども増えてきたようです。
 私たちが聞く、一般的に言われる移植手術の適応時期は、以下の通りです。

(1)葛西手術しても減黄しない。
   (胆汁うっ滞が続き、肝硬変が進んでいる)
(2)胆管炎を頻回におこし、QOLが著しく下がった時
(3)体重が増えないなど、成長障害が起きた時
(4)その他、QOLが維持できない時

 一才前後で移植するお子さんは、(1)や(3)が状態の場合が多いです。
 アドバイスとしては、以上のような状態が続いてご家族が不安になりましたら、まずは小児外科医の主治医と移植について相談しましょう。小児外科医から移植医へのコンタクトを取ってもらうこともありますし、こちらから移植医のセカンドオピニオンを受けてみたいとお伝えするのも良いかと思います。
 移植については、小児外科医と移植医の連携があることが望ましいです。そのため、小児外科医に相談せず、移植医のセカンドオピニオンを受けることはできるだけ避けましょう。

移植するのに体重が増えません…

移植するのに体重が増えません…

「6kgの壁」とよばれるハードルがあるそうです。

 葛西手術をして、胆汁が順調に分泌され、減黄したお子さんはしばらくはMCTミルクを飲みますが、体重が順調に増えてくると普通のミルクや離乳食に切り替わることが出来ます。しかし、中には葛西手術の効果が思わしくなく、胆汁が流れずに黄疸も引かないお子さんもおられます。MCTミルクを飲んでいても肝臓が肥大していることで腹部の圧迫感があり、吐き戻してしまう赤ちゃんや、ミルク自体を嫌がってあまり飲もうとしない赤ちゃんもいます。そのため、6kgから体重がなかなか増えず「6kgの壁」というハードルがあるそうです。そして、このような状態の赤ちゃんは、移植を控えていることも多く、移植に好ましいと言われる体重(7kg以上と言われております。)になかなか到達せずに、親が頭を抱えることがあります。ミルクを飲まないので、ストレスがたまる親の話もよく聞きます。
 これについては、あまり神経質になってもなにも改善しません。鼻からチューブを入れて24時間注入するなど、術前に管理入院する必要があるかどうか、移植医の先生と相談してみましょう。

身体のかゆみが強いらしいです。かゆみの原因は何ですか?

身体のかゆみが強いらしいです。かゆみの原因は何ですか?

かゆみの原因は胆汁酸と考えられますが、詳しくは分かっていません。

 大人の肝疾患の患者さんによると、肝硬変になるとかゆみが強くなるらしいです。特に胆汁がうっ滞すると、便などからビリルビンや胆汁酸が排出されないため、胆汁酸が血液内に滲み出し、血流にのって全身を駆け巡ることで、かゆみを感じるそうです。かゆみは特に手や足に強く感じるそうです。胆汁酸が痒みの原因かもしれないということですが、まだ原因がはっきり解明されたわけではないようです。 胆道閉鎖症の赤ちゃんの場合、胆汁酸でかゆみが強くなり、赤ちゃんがよく皮膚を掻きむしってキズだらけになることがよくあります。また、かゆみで寝付きが悪く、夜なかなか眠れないお子さんもおられます。かゆみの症状については、その原因もはっきり解明されたわけではないので、対処療法しかなく、またどれも「ものすごく効果がある」とか「症状を完全抑える」ことはできないようです。
【参考】大津赤十字病院消化器科:慢性肝疾患によくある症状と生活上の注意点・工夫
【参考】徳島大学病院肝疾患相談室:肝疾患とかゆみについて

身体のかゆみを和らげる方法。生活編

身体のかゆみを和らげる方法。生活編

 かゆみに悩まされた先輩ママ達から、「こうして和らいだ」とか「これをやってみた」という経験談をご紹介します。

(1)ミトンをする・爪をこまめに切る

 かゆみに対しては「引っ掻くことで神経を刺激し、よりいっそうかゆみが強調される」ようです。また、胆道閉鎖症の赤ちゃんの場合、引っ掻いてキズが着くと、そのキズが治りにくいことがあります。ただ、赤ちゃんに「引っ掻くな」というのは無理なので、ミトンをすることで、なるべく刺激を和らげてみましょう。夏場はちょっと難しいですが、ガーゼ布やメッシュのミトンも今は販売されているので、通気性を保ちつつ、爪でキズつかないようするといいと思います。 また、赤ちゃんの爪は鋭いので、こまめに切ってキズがつかないようにしましょう。

(2)かゆいところを冷やす

 かゆみを感じる神経は、温まると敏感になるそうです。逆に冷やすと神経が少し麻痺して、感覚が鈍くなるそうです。ですので、赤ちゃんが頭などをかゆがっている時は、アイスノンや氷枕をしていくらか寝付きが良くなるそうです。また、お風呂は身体を温めますので、お風呂の後はかゆみが増します。またかゆみは夜になると強く感じるという成人患者の経験があるそうです。ですので、赤ちゃんの場合、お風呂は寝る前ではなく、朝風呂や夕方など早い時間帯に入り、寝る時は身体の火照りがある程度冷めてると寝付きがよいこともあります。

身体のかゆみを和らげる方法。皮膚ケア編

身体のかゆみを和らげる方法。皮膚ケア編

(1)重曹水(炭酸水素ナトリウム液)で身体を拭く

 病院の看護婦さんがよく肝疾患患者の身体のかゆみに対し、重曹水で拭いてあげて和らげているようです。一説では重曹がかゆみを一時的に緩和させるそうですが、医学的に証明されたという話はなさそうです。ただ、肝ったママ’sのメンバーからの情報によりますと、大病院の消化器科病棟などでは、痒みを訴える患者さんに対し、重曹水で身体を拭いているようです。 重曹水の作り方は水かお湯1,000mlに対し、2gの重曹を溶かして、2%濃度にするのが良いそうです。重曹水は長く放置できないので、使う時に作りましょう。また、重曹(炭酸水素ナトリウム)は医局方(日本薬局方炭酸水素ナトリウム)のものが安心かと思います。

(2)ハッカ水やメンソレータム、よもぎローションなどで爽快感・清涼感を得る

 グリセリンアルコール、メントールアルコール、ヨモギ水、ハッカ水(ハッカ油ではありません!)やメンソレータムなどで、ひんやり気持ちいいとかゆみが和らぐようです。よもぎエキスなどが入ったローションを塗った方もいるそうです。ただ、赤ちゃんには刺激が強い時もありますので、ご注意ください。また、アルコール成分を含む場合、塗ることで肌が乾燥してより掻痒感が増すことがあるので、保湿をしっかり行って下さい。

(3)保湿クリームやローションを塗る

 一般の健康的な人でも、冬場の乾燥時期や熱いお風呂・シャワーを浴びすぎると、皮膚がかゆくなります。それは皮膚表面が乾燥してかゆくなるそうです。胆道閉鎖症によるかゆみは「身体の中」からのかゆみですが、それに乾燥が加わるとより一層かゆみを増すので、保湿クリームなどを塗るといくらか緩和されるそうです。主治医にお話して保湿クリームなどを処方してもらった方もおられるようです。
 これらの皮膚ケアについては、前提として身体の汚れをまず落としてから塗ってください。また刺激が強い時はやめましょう。

身体のかゆみを和らげる方法。その他編

身体のかゆみを和らげる方法。その他編

抗ヒスタミン剤や漢方薬を使う

 何人かのお母さんは、赤ちゃんのかゆみについて、主治医と相談したところ、抗ヒスタミン剤や漢方薬を処方された方もおられるようです。ヒスタミンはかゆみや腫れを引き起こす原因物質で、よくアレルギーの方は抗ヒスタミン剤を処方されます。しかし、一説では胆汁酸によるかゆみは抗ヒスタミン剤ではあまり効果が得られないともいわれます。また漢方薬についても、近年ようやく小児に対する漢方薬の研究会が立ち上がったばかりなので、まだ発展過程にあります。
 薬の処方については、主治医とよくご相談ください。
 かゆみについては、どの方法も「一時的に和らげる」程度でしかありませんが、お子さんが過ごしやすいためにも、出来るだけのことはしたいですね。他にも「こんな方法が効きました」など経験がありましたら、ぜひぜひ情報のご提供をお願い致します。

食事で気をつけることはありますか?

食事で気をつけることはありますか?

基本はバランスよく栄養を取りましょう。

 葛西手術後に十分な胆汁の分泌がされているのであれば、一般的な食事管理でバランスよく栄養を摂れば大丈夫です。
胆汁の分泌がスムーズではないお子さんは、脂溶性ビタミンの吸収を効率よく行えません。そのためビタミンA/D/E/Kの吸収が悪い時があります。これらの吸収を補うために、場合によっては医師よりビタミン剤などが処方されます。病院の栄養士さんなどと相談して、肝臓疾患に向いている栄養メニューなどのアドバイスをいただくのもよいかと思います。
 巷でうたわれている肝臓に良いものは、必ずしも胆道閉鎖症のお子さんには向いているとは限りません。鉄分の過剰摂取などはむしろ弱っている肝臓に負担をかける可能性があります。サプリメントなどは自己判断で与えずに、主治医と相談しましょう。

歯が黄色いのですが、これは何か関係があるのですか?

歯が黄色いのですが、これは何か関係があるのですか?

黄疸が出ていた時期のビリルビン色素沈着ではないかと考えられます。

 胆道閉鎖症のお子さんは、肝臓からうまく胆汁が流れず、行き場を失ったビリルビンが血流に乗って全身をまわり、身体が黄色くなります。これが黄疸(病的黄疸)と言われるものです。この黄色くなるのは、ビリルビン色素が皮膚に沈着するためで、肝硬変が進んでしまうと、黄疸も進んでしまい、黄色から、どす黒くなることもあります。今は、肝移植という治療のお陰でだいぶ救命率もあがり、移植後の5年生存率も小児ではすこぶる優秀ですが、この黄疸(ビリルビン色素沈着)の時期は、赤ちゃんの乳歯が生えてくる前のことが多く、気がついたら、「黄色い歯」が気になるお母さんも多くいます。 「黄色い歯」の原因は、一説にはこの「ビリルビン色素」の沈着だと言われております。(情報ライブラリの学術情報を参考)ただ、「黄色い歯」は外観上は美観の問題が気になりますが、歯としての機能に色は関係なく、あまり心配いらないそうです。胆汁が流れて黄疸が引いたり、移植後肝機能が正常になれば、その後に生えてきた永久歯は白い歯だったというお母さんの経験談もあります。 ただ、移植後は免疫抑制剤を飲んでいることもあり、口腔衛生には気をつけた方がよろしいかと思います。歯磨きをきちんとして、定期的に歯の検診・虫歯のチェックしましょう。また、移植したお子さんは、虫歯などの治療が必要となった場合、治療前に感染予防対策で抗生剤を飲むことが有ります。肝臓の主治医とよく相談し、必要に応じて、移植した病院の小児歯科を紹介してもらうと安心かと思います。情報ライブラリ/学術情報/ 成育に関する資料・報告:ヒト・ビリルビン着色歯のビリルビン分析

予防接種とかしても大丈夫ですか?

予防接種とかしても大丈夫ですか?

予防接種については、主治医と相談の上、受けられるものは受けておくことをお勧めします。

 なぜならば、万が一、将来移植になった場合、移植後は拒絶反応を防ぐため、免疫抑制剤を服用します。免疫抑制剤を服用しますと、免疫がある程度抑えられるので、感染症に罹りやすくなったり、感染した場合は重症化する恐れがあります。移植後は一定期間は予防接種を受けることは出来ません。また、予防接種が受けられるようになっても、飲んでいる免疫抑制剤の種類によっては、「生ワクチン」を受けられないことがあります。そして、たとえ「生ワクチン」を含む予防接種をうけられるようになっても、「抗体」が付きにくいケースがあります。そのため、移植前に出来るだけ予防接種をしておくことをお勧めいたします。
 ただし、必ず主治医とご相談の上、許可を得てから予防接種を受けて下さい。
情報ライブラリ/学術情報/肝移植に関する情報:移植患者へのワクチン接種−とくに肝臓移植者−

同じ病気のお子さんを持った家族や患者本人と交流したい!

同じ病気のお子さんを持った家族や患者本人と交流したい!

 胆道閉鎖症は1万人に一人という割合なので、なかなか同じ病気を持ったお子さんは周辺には居られないと思います。でも、病気について話を聞きたい、保育園・幼稚園・学校生活とかどうしているんだろ?、他の病院ではどんな治療しているんだろ?と、知りたいことは沢山あると思います。
 国内の著名なソーシャルネットワークサービス(SNS)の「mixi」には、そんな親御さんや患者ご本人が集まっているコミュニティがあります。「胆道閉鎖症コミュニティ」と「胆道閉鎖症<別館>コミュニティ」です。「胆道閉鎖症コミュニティ」は以前からありましたが、2013年現在新規加入ができません。代わりに「胆道閉鎖症<別館>コミュニティ」がありますので、同じ患者さんやご家族の方と交流されたい方は参加されると良いかと思います。肝ったママ’sのメンバーも大勢参加しております。コミュニティは承認制となっており、外部には非公開です。(肝ったママ関係者が運営しておりますが、胆道閉鎖症<別館>コミュニティへの参加と、肝ったママ’sへの入会等は関係ありません。)

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胆道閉鎖症の女の子は、将来出産できるの?

胆道閉鎖症の女の子は、将来出産できるの?

 妊娠・出産は健康な人でも大きく身体が変化します。基礎疾患がある場合、妊娠・出産は身体に大きな負担となる場合があります。移植をされた方は、服用している免疫抑制剤などが胎児に影響する場合があります。また、葛西手術や移植手術の影響で、卵管癒着となり、なかなか妊娠しにくいこともあります。
 しかし、胆道閉鎖症の方で、自己肝で生存されている方の妊娠・出産の事例はあります。また、移植された方でも、免疫抑制剤の調整などをしつつ、妊娠・出産された方もおられます。
 妊娠・出産を希望される場合、事前に主治医とご相談すると良いでしょう。肝臓の主治医と、産婦人科で連携を取りつつ、妊娠中の体調管理や出産時の対応をしてもらえます。

【参考】国立成育医療研究センター病院:胆道閉鎖症術後妊娠について
情報ライブラリ/医療ニュース:臓器移植後の出産に指針

宿泊保育や修学旅行が気になります。NEW

宿泊保育や修学旅行が気になります。

教師や養護教諭と事前によく話し合いをしましょう。

 宿泊保育や修学旅行、ある意味集団生活を体験するとても大事なイベントですね。お友達と親のいない旅行先でいろいろ体験することは、成長にとてもよい刺激を与えますし、良い思い出にもなりますので、ぜひ参加させたいですね。
 参加させるためには、日頃の体調管理も大切ですが、引率の先生や養護教諭などと、気になるところや、配慮してもらいたいこと、万が一の対応方法などを事前によく話しあいましょう。その際に気をつけるのが、(1)お薬の管理(2)急病や怪我などの緊急時対応(3)保護者、主治医の連絡先などです。

(1)お薬の管理

 小分けのジップロックなどに、ハッキリと分かりやすく服用するお薬の種類・色・形・量を記入しましょう。定期的に服用するお薬は一回で一つの小分け袋が分かりやすいかと思います。万が一の頓服薬などは、定期的に服用するお薬とは「違いがわかるよう」に別の色の袋に入れるなど、「分かりやすさ」を心がけましょう。お薬袋に明記するほか、お薬の服用について丁寧に説明を書いた備忘録を準備もしておくと良いでしょう。
 園や学校側でも、事前に記入する書類や資料はあるかと思いますが、保護者側で丁寧な資料を準備する分には問題ないと思いますし、相手も助かると思います。お薬の管理をしていただくのは担任なのか、養護教諭なのかも確認しておきましょう。

(2)急病や怪我などの緊急時対応

 宿泊保育や修学旅行の2ヶ月ぐらい前の外来から、主治医に相談しましょう。急病や怪我などの緊急時に対応してもらう病院を紹介してもらったり、緊急時の搬送先の医師に見せる手紙などを書いてもらうなど、事前に準備をすると安心です。
 また、宿泊保育や修学旅行にかぎらず、遠足などで遠出する時にも、緊急時医療情報を子どもに携帯させることも一つの方法です。「アスモスマイル」というサイトでは、救急医が監修して作った救急医療情報カード「まもるカード」というアイテムを企画・販売しております。このようなアイテムを使い、必要な医療情報を記入して、お子さんに持たせておくと、万が一の時に迅速に・的確な治療を施してもらえるかと思います。

【参考】アスモスマイル:緊急医療情報カード「まもるカード」

(3)保護者、主治医の連絡先

 保護者の緊急連絡先は元より、主治医の連絡方法なども担任の先生にお伝えしましょう。場合によっては、緊急連絡先を書いた小さなカードなどを渡すと良いかもしれません。また、緊急時の搬送先が予め決まっていることもありますので、教えてもらったり、旅行先の付近の医療機関なども下調べしておくといいでしょう。