こちらでは、胆道閉鎖症について役に立つ情報を記載しております。医療助成や保険について書いております。

 患者の治療は主治医とよくご相談ください。

自立支援医療(育成医療)について

自立支援医療(育成医療)について 

自立支援医療とは、葛西手術や移植手術など、手術等の治療に対する国の自立支援医療費の助成です。

 育成医療は、児童福祉法第4条第2項に規定する障害児(障害に係る医療を行わないときは将来障害を残すと認められる疾患がある児童を含む。)で、その身体障害を除去、軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を得るために必要な自立支援医療費の支給を行うものです。
 胆道閉鎖症の葛西手術や肝移植手術も、育成医療の助成対象です。申請の方法については、各自治体の役所・役場にお問い合わせください。

【参考】厚生労働省:自立支援医療(育成医療)の概要

小児慢性特定疾病について

小児慢性特定疾病について

厚生労働省の小児慢性特定疾患治療研究事業についての情報です

児童福祉法の一部を改正する法律(平成26年法律第47号)が、平成26年2月12日に第186回国会(常会)に提出され、5月23 日に可決成立し、平成26年5月30日に公布されました。この法改正により、小児慢性特定疾病対策の充実が図られることになります。なお、この法律の施行は、一部の規定を除き、平成27年1月1日となります。
 子どもの慢性疾患のうち、小児がんなど特定の疾患については、治療期間が長く、医療費負担が高額となります。小児慢性特定疾患治療研究事業(以下、小慢)は、児童の健全育成を目的として、疾患の治療方法の確立と普及、患者家庭の医療費の負担軽減につながるよう、医療費の自己負担分を補助するものです。

胆道閉鎖症も小慢の指定をうけております。申請の方法については、各自治体の保健所にお問い合わせください。

【参考】厚生労働省:小児慢性特定疾患治療研究事業の概要
【参考】東京都福祉保健局:小児慢性疾患医療費助成制度の概要
【参考】小児慢性特定疾病情報センター

特別児童扶養手当について

特別児童扶養手当について

精神又は身体に障害を有する児童について厚生労働省が出す手当のことです

 特別児童扶養手当は、精神又は身体に障害を有する児童について手当を支給することにより、これらの児童の福祉の増進を図ることを目的にしています。肝疾患もこの対象になっており、認定基準によって一級と二級に分けられ、級数に見合った金額が保護者に支給されます。
 胆道閉鎖症のお子さんも、肝疾患の認定基準に満たしていれば、手当を受けることが出来ます。申請の方法については、各市区町村の窓口にお問い合わせください。

【参考】厚生労働省:特別児童扶養手当について

民間の保険について

民間の保険について

民間の保険についての情報です。

 胆道閉鎖症や乳幼児肝疾患のお子さんは、生まれて間もなく病気が発覚するため、その後の学資保険などの加入は難しいことがほとんどです。生協が提供している保険で加入が出来たという情報があります。お近くの生協へお問い合わせしてみてください。

血液データの読み方(幼児用)

血液データの読み方(幼児用)

*あくまでも参考にしてください。
検査項目  呼び名 データの示す意味(↓正常値より低い・↑正常値より高い)
____________________________________
WBC     白血球  ・・・・・・・ 感染防御・抗体産生
RBC     赤血球  ・・・・・・・ 貧血有無(↓貧血)
Hb      ヘモグロビン・・・・・・ 貧血有無(↓貧血)
Ht      ヘマトクリット 
PLT     血小板  ・・・・・・・ 血液凝固力(↓出血しやすい)
St      桿状好中球・・・・・・・ 感染防御
Seg     分節好中球・・・・・・・ 感染防御
Ly      リンパ球 ・・・・・・・ 感染防御
Mo      モノサイト(単球)・・・ 
Eo      イーオー(好酸球)・・・ 
Ba      バソ(好塩基球)・・・・
PT-%    ピーティー・・・・・・・ ↓肝機能低下・出血傾向
PT-INR  ピーティーアイエヌアール ↑肝機能低下・出血傾向 
APTT    エーピーティーティー・・ ↑肝機能低下・出血傾向
Fib     フィブリノーゲン・・・・ ↓出血傾向↑血栓形成傾向
HPT     ヘパプラスチンテスト・・ ↓出血傾向
AT-?     エーティースリー・・・・ ↓凝固亢進
FDP     エフディーピー・・・・・ ↓出血傾向
TAT     タット・・・・・・・・・ ↑凝固亢進
Na      ナトリウム・・・・・・・ 電解質(↑脱水疑い↓心・腎不全等)
K       カリウム・・・・・・・・ 電解質(急激な上昇は不整脈)
Cl      クロール・・・・・・・・ 電解質
BUN     ビーユーエヌ・・・・・・ ↑腎機能低下
UA      尿酸・・・・・・・・・・ ↑腎機能低下
クレアチニン  クレアチニン・・・・・・ ↑腎機能低下
Ca      カルシウム・・・・・・・ 電解質
IP      無機リン・・・・・・・・ 電解質
Mg      マグネシウム・・・・・・ 電解質
グルコース   グルコース・・・・・ 血糖・↑糖尿病(免疫抑制剤で上昇し易い)
AST     エーエスティー・・・・・ ↑肝機能低下(GOT表記も有)
ALT     エーエルティー・・・・・ ↑肝機能低下(GPT表記も有)
γGTP    ガンマジーティーピー・・ ↑胆汁排泄機能低下・肝機能低下
ALP     アルカリホスファターゼ・・ ↑胆汁排泄機能低下・肝機能低下
LDH     エルディーエイチ・・・・ ↑肝障害・感染症
LAP     ラップ・・・・・・・・・ 肝硬変・胆汁排泄機能を見る
CHE     コリンエステラーゼ・・・ 肝臓合成能(↑脂肪肝↓肝硬変)
AMY     アミラーゼ・・・・・・・ ↑急性膵炎
T-Cho   総コレステロール・・・・ 肝臓合成能(↑高脂血症↓肝硬変)
CK      シーケー・・・・・・・・ ↑心筋梗塞疑い↓甲状腺機能亢進)
TG      トリグリ・・・・・・・・ 中性脂肪(↑高脂血症↓肝硬変)
T-BIL   トータルビリルビン・・・ ↑胆汁排泄機能低下・肝細胞の働き低下)
D-BIL   ダイレクトビリルビン・・ ↑胆汁排泄機能低下・肝細胞の働き低下)
CRP     シーアールピー・・・・・ 炎症反応(↑感染兆候)
総胆汁酸    総胆汁酸・・・・・・・・ ↑肝機能低下
TP      トータルプロテイン・ 総蛋白(↑脱水↓肝障害・貧血・重症感染症)
Alb     アルブミン・・・・・・・ ↓肝臓合成能低下(腹水)
NH3     アンモニア・・・・・・・ ↑肝臓の解毒、排泄機能低下

C7-HRP判定量・・・・・・・・サイトメガロウイルス感染症の判断(陰性/陽性)
C10,C11判定量・・・・・・・サイトメガロウイルス感染症の判断(陰性/陽性)


各検査項目の小児の基準値は性別、月齢・年齢によって異なります。こちらでは掲載しません。
 詳しくは小児臨床検査基準値(国立成育医療研究センター)

血液検査項目の意味(血算)

血液検査で、血球に関する項目の説明です。

各検査項目の小児の基準値は性別、月齢・年齢によって異なります。こちらでは掲載しません。
 詳しくは小児臨床検査基準値(国立成育医療研究センター)

WBC(白血球数)

 白血球は体外から入ってくる病原性物質、微生物から体を守る働きをしています。体内に炎症があるとこの数値が増加しますが、血液疾患で増減する場合があります。

RBC(赤血球数)

 1㎣あたりの赤血球の数です。呼吸器や心臓の病気で増加することがあります。また、貧血であっても赤血球数は低下しないケースもあります。

Hb(血色素量)

 ヘモグロビンといい、血液の濃度を示します。この数値が低下すると各種貧血に該当します。

Ht(ヘマトクリット)

 赤血球容積比(血液中で赤血球が占める割合)をあらわしたものです。RBC値が下がらずにHt値やHb値が下がる場合は鉄欠乏性貧血が最も疑われます。

PLT(血小板数)

 血小板は怪我などで破れた血管の穴をふさぎ出血を止めるはたらきをします。出血や血液疾患、肝硬変等で数値が下がることがありますが、逆に血液疾患によってはこの数値が上がる場合もあります。

MCV(平均赤血球容積)

 赤血球の1個あたりの容積の平均値で、赤血球の大きさの判断に役立つ指数です。

MCH(平均赤血球色素量)

 一定量の中の血色素(ヘモグロビン)量を、赤血球数で割ったもので、赤血球の1個あたりのヘモグロビン量の平均値です。

MCHC(平均赤血球血色素濃度)

 個々の赤血球の容積に対する血色素(ヘモグロビン)量の比を%で表したもので血色素濃度の高低、すなわち低色素性、高色素性の程度を示します。

血液検査項目の意味(血液蛋白)

血液検査で、血液蛋白に関する項目の説明です。

各検査項目の小児の基準値は性別、月齢・年齢によって異なります。こちらでは掲載しません。
 詳しくは小児臨床検査基準値(国立成育医療研究センター)

TP(総蛋白)

 血液に含まれる様々な種類のタンパク質の総量を示します。一般的に肝機能や腎機能の検査に用います。

ALB(アルブミン)

 アルブミンは単純タンパク質の一種で、血液中に含まれるアルブミンは「血清アルブミン」とも呼ばれています。血液中タンパク質の総量の50%程度を占めるのがこの血清アルブミンで、血液の浸透圧調整や体外物質の保持や運搬をします。

血液検査項目の意味(血液凝固)

血液検査で、血清凝固に関する項目の説明です。

 胆道閉鎖症の合併症でビタミンK欠乏症になると、血液の凝固に影響が出て、出血しやすくなります。
各検査項目の小児の基準値は性別、月齢・年齢によって異なります。こちらでは掲載しません。
 詳しくは小児臨床検査基準値(国立成育医療研究センター)

PT(プロトロンビン時間)

 プロトロンビン時間(PT)は、血液凝固因子と呼ばれる、血液を固める作用のある蛋白質に関連した検査値です。血液凝固因子は、現在13種類見つかっていますが、そのほとんどは肝臓で作られます。したがって、肝機能が低下すると、血液中の血液凝固因子が減少して、血液が固まるのに時間がかかるようになります。

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)

 APTTは、血液凝固活性の指標です。血液凝固の過程には、内因系といわれる経路と、外因系といわれる経路があり、それぞれ多くの血液凝固因子が関わっています。APTTは、内因系の血液凝固能力を測定する検査で、内因系に関わる血液凝固因子のいずれかが不足しているか、機能が低下していると、APTTが延長します。血液凝固因子の多くは肝臓で作られているため、肝機能が障害されると、血液凝固因子が不足し、APTTが延長します。

【参考】B型肝炎.net:検査値の読み方

血液検査項目の意味(肝胆膵)

血液検査で、肝臓・胆嚢・膵臓に関する項目の説明です。

各検査項目の小児の基準値は性別、月齢・年齢によって異なります。こちらでは掲載しません。
 詳しくは小児臨床検査基準値(国立成育医療研究センター)

T-Bil(総ビリルビン)

 ヘモグロビンなどに含まれている生成分解産物です。ヘモグロビンは肝臓で処理され、胆汁として排泄されますが、その途中で障害があるとビリルビン値が上昇します。

D-Bil(直接ビリルビンまたは抱合型ビリルビン)

 総ビリルビンのうち、水溶性のビリルビンを直接ビリルビンまたは抱合型ビリルビンと言います。総ビリルビン値が高く、直接ビリルビン値もそれに伴って上昇している場合は肝炎や胆石、胆道がんなどが疑われます。
 胆道閉鎖症の葛西手術の後は、直接ビリルビンが1を下回ることが、減黄の目安とされております。

I-Bil(間接ビリルビンまたは非抱合型ビリルビン)

 総ビリルビンから直接ビリルビンを差し引いたものを間接ビリルビンまたは非抱合型ビリルビンと言います。総ビリルビン値が高く、直接ビリルビン値が上昇していない場合は間接ビリルビン値が高いことになります。この場合、肝臓の障害よりも赤血球が破壊されている(溶血性の貧血など)ことが原因となっている可能性が高いと考えられます。

LDH(血清乳酸脱水素酵素)

 LDHは肝臓、赤血球、筋肉、悪性腫瘍など身体中に広く分布するため、血清中のLDH活性の上昇はいずれかの組織に異常があることを示します。このためLDH検査は、どの組織が損傷しているかを知るためのスクリーニングテストとして利用されます。

γ-GTP(ガンマジーティピー)

 肝臓の解毒作用に関係する酵素です。肝臓や胆管の細胞が壊れることで血液中に流れ出すことから「逸脱酵素」といわれています。γ-GTPが高くなる疾患には、肝臓の細胞が破壊される肝炎、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝などがあり、胆石や胆道がんなどで胆道がつまった場合にも高値になります。他の肝臓データに比べてγ-GTPが特に高いときは、アルコールによる肝疾患が考えられます。

AST(エーエスティ=アスパラギン酸アミノ基転移酵素)

 グルタミン酸とアスパラギン酸をオキサロ酢酸とαケトグルタル酸に相互変換する、細胞内の酵素です。従来日本ではGOTとも呼ばれていました。健康な人の場合、肝細胞が新陳代謝の過程で少しずつ壊れて、ASTやALTが血液中に流れ出しますが、病気などにより細胞が早いスピードで壊れると血中濃度が上昇します。AST値を調べることで肝臓機能障害の程度がわかります。

ALT(エーエルティ=アラニンアミノ基転移酵素)

 ASTとともに肝臓機能障害の指標となっています。従来日本ではGPTとも呼ばれていました。ASTは肝臓、心筋、骨格筋に多く存在しますが、ALTは肝臓の細胞にのみ存在します。そのため、特にALTはASTよりも肝臓特異的といえます。

ChE(コリンエステラーゼ)

 肝臓や血清中に存在し、コリネステル類を分解する酵素です。血清コリンエステラーゼ(ChE)活性は肝実質細胞の機能障害により低下するため、肝機能検査を目的に測定されます。また、有機リン、カルバメート系薬物では血清ChE活性が著しく低下するため、これらに関係深い農薬や殺虫剤による薬物中毒検査にも用います。

AMY(アミラーゼ)

 デンプンをブドウ糖に分解する酵素で、主に唾液腺と膵臓から分泌されます。唾液腺や膵臓、卵巣などが障害を受けると、アミラーゼの値が高くなるため、その損傷の度合いを調べることができます。

NH3(アンモニア)

 体内のアンモニアは、蛋白質の代謝の過程で作られ、肝臓で尿素に合成され排泄されます。したがって肝障害があると、血液中にアンモニアがたまり、高アンモニア血症となります。アンモニアの測定は、肝機能の指標になるとともに、治療の効果判定にも用いられます。特に、肝硬変や劇症肝炎などでは、血液中に多くのアンモニアが残り、意識障害を起こすことがあります。これは肝性脳症と呼ばれ、肝硬変や劇症肝炎の重要な合併症です。

LAP(ロイシン・アミノペプチダーゼ)

 LAPは蛋白質を分解する酵素で、肝臓や腎臓、腸などに多く存在し、また胆汁にも含まれています。肝炎、肝硬変、肝がんなどで胆道が詰まり、胆汁の流れが障害されると、血液中に胆汁が逆流して、LAP値が上昇します。また急性肝炎や肝硬変でも上昇します。LAPとγ-GTP、ALPの3つは胆道系酵素と呼ばれ、3つ一緒に上昇することが多くなります。ただし、ALPはくる病など骨の病気でも上昇しますが、LAPは骨の異常では上昇しないので、LAPとALPが一緒に上昇していれば肝臓・胆道系の病気、ALPだけが上昇していれば骨の病気であると推察できます。

ALP(アルカリホスファターゼ)

ALPはリン酸化合物を分解する酵素で、肝臓や腎臓、腸粘膜、骨などで作られ、肝臓で処理されて胆汁中に流れ出ます。胆石や胆道炎、胆道がんなどで胆道がふさがれて胆汁の流れが悪くなったり(胆汁うっ滞)、肝臓の機能が低下すると、胆汁中のALPは逆流して血液中に流れ込みます。ALP値は、胆汁うっ滞では大きく上昇しますが、急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変などではあまり大きな上昇はみられないため、黄疸が現れた場合、その原因が肝臓にあるのか、胆道にあるのかを特定するのに有効です。AST(GOT)やALT(GPT)は、逆に肝炎などで大きく上昇し、胆汁うっ滞ではさほど上昇しないので、両者の検査値を比較することで、さらにわかりやすくなります。
 なお、骨の成長とも関連しているため、成長期にある小児や思春期には、ALP値は成人よりも高い値を示します。

【参考】B型肝炎.net:検査値の読み方

血液検査項目の意味(腎)

血液検査で、腎臓に関する項目です。

各検査項目の小児の基準値は性別、月齢・年齢によって異なります。こちらでは掲載しません。
 詳しくは小児臨床検査基準値(国立成育医療研究センター)

BUN(尿素窒素)

 人体を構成するタンパク質が代謝され、腎臓から排泄されるもので、腎臓の機能障害を調べるのに用います。蛋白摂取の増加や体内の蛋白の崩壊で増加します。腎機能が低下した場合も数値が上がります。

CRE(クレアチニン)

 体内で利用された老廃物の一つで、筋肉の活用により使われるクレアチンリン酸がエネルギーを発する際に分解され、腎臓から排泄されるものです。このクレアチニン濃度を検査することで腎臓のろ過能力を測定する指標になります。

UA(尿酸)

 尿酸は骨髄や筋肉、肝臓で作られた後、大部分が腎臓でろ過され尿中に排泄されるものです。代謝障害により上昇することもありますが、アルコールで腎臓からの排泄を抑制されたり、肉類に多く含まれるプリン体という物質が体内で最終的に尿酸に変えられ高値になる場合もあります。尿酸値が高値である場合関節などに尿酸が沈着し痛風発作が起きやすくなる恐れがあります。また、尿管に流れ出し、そこで結石を作る恐れもあります。特に、痛みを伴わない腎臓への沈着や動脈硬化の促進は生命に関わることもあるため注意が必要です。

血液検査項目の意味(電解質)

血液検査で、電解質に関する項目です。

 体は電解質を使って神経や筋肉の機能を調整しております。電解質のバランスが崩れると、さまざまな障害が出てきます。バランスを崩す要因には次のようなものがあります:

(1)脱水状態
(2)薬の服用
(3)心臓や腎臓、肝臓の疾患
(4)不適切な量の輸液や栄養補給


各検査項目の小児の基準値は性別、月齢・年齢によって異なります。こちらでは掲載しません。
 詳しくは小児臨床検査基準値(国立成育医療研究センター)

Na(ナトリウム)

 血中陽イオンの90%以上はナトリウムです。体内の水分補助や浸透圧調整を行います。ナトリウム値は下痢や嘔吐、浮腫など水代謝異常が診られる場合に検査します。脱水症状を起こしているときや急速なナトリウム含有輸液で上昇することがあり、逆に利尿薬の使用、嘔吐、下痢で低下することがあります。

K(カリウム)

 カリウムはナトリウムとは反対に主として細胞内液に多く存在します。神経や筋肉の興奮性、酵素反応、糖・タンパク代謝に関与し、特に心筋の働きに大きく影響を与えます。嘔吐や下痢による喪失や腎臓からの排泄促進で低カリウム血症をきたします。

Cl(クロール)

 クロールは血中の陰イオンの多くを占めます。人体へは食塩(NaCl)の形で摂取されます。血液検査ではナトリウム濃度とのバランスが重要な判断材料になります。

Ca(カルシウム)

 カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルで、99%以上が骨や歯の形で貯蔵されています。血中に存在するカルシウムはイオン化することで、神経や筋の興奮性、血液凝固、細胞膜機能、酵素の活性化、ホルモン分泌などの生理作用を担います。血液検査では内分泌疾患、骨代謝異常などの検査に利用されます。

IP(無機リン)

 リンは体内ではカルシウムに次いで量が多いミネラルです。体内では85%が無機リンとして骨に存在し、カルシウムと結合しています。ただし、無機リンには生理作用とは直接的な関係がないため、主に血液検査ではカルシウムとの関連性を調べる目的で内分泌、骨代謝異常の有無を検査します。カルシウムとリンの代謝及び排泄は一部腎臓で調整されているため、腎臓のろ過量が減少するとリンの検査値が上昇します。しかし、カルシウム値はリンほど影響は受けません。

Mg(マグネシウム)

 体内のマグネシウムは、ほとんどが骨に含まれています。血液中に存在するのは微量です。マグネシウムは骨や歯の形成および、神経や筋肉の正常な機能に必要です。体内のさまざまな酵素も、マグネシウムがないと正常に機能しません。マグネシウムは食物から摂取し、尿や便で排出します。

特殊ミルクについて

特殊ミルクについて

特殊ミルク(主にMCTミルク)についての情報です。(2013年10月現在の情報です)

 胆道閉鎖症の赤ちゃんは、葛西手術や移植手術の後に、肝臓に負担をかけずに効率良く栄養を吸収するために、医師よりMCTミルクを勧められることがあります。病院で処方として出されることもありますが、個人で入手する場合もあります。その入手先などの情報です。なお、MCTミルクは医師の許可がないと購入出来ませんので、ご注意ください。

【入手先】
MCTフォーミュラミルク 350g 3,675円(税込)*
明治乳業グループ 株式会社ナイスディ
0120-415-174

【ミルク補助・医療費控除】
 MCTミルクは医師の処方がないと購入出来ない(処方箋があるわけではないのですが)ので、治療の一環としてとらえることができるようです。医療費控除が出来た事例があるので、ミルク代の領収書はとっておくと良いと思います。
 また、社会福祉法人の恩賜財団母子愛育会で、ミルクの補助が出ると言う情報もあります。
(先天性代謝異常症治療用ミルクとありますが、MCTミルクも申請できたとの話を聞きました)

【参考】社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会
*2013年10月時点での価格です。消費税UPしたので、価格変更の可能性があります。

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セカンドオピニオンとは何ですか?

セカンドオピニオンとは何ですか?

「セカンドオピニオン」は「ドクターショッピング」ではありません。

 セカンドオピニオンとは、直訳すると「第二の意見」と言う意味です。患者さんの診断や治療について、現在の主治医以外の医師の意見を聞く…と言う意味です。この言葉はよく「ガン治療」で見られる言葉です。ガンの治療は色々あり、専門医によって「抗がん剤投与が先」「外科手術が先」など…異なる考えがあります。
 胆道閉鎖症に限ってこの言葉を定義すると、「二回目の葛西手術をするか、あるいはこのまま移植に向けて準備するのか」という場面で使われる事が多いかと思います。人間の身体と言うのは、メスを入れるごとに大きな負担を強いられます。また、癒着が激しくなり、もしその後移植となった場合、癒着が影響する…という考えもあります。(実際に医学的に証明されたわけではありません。)また、どんなに小さな手術でリスクはゼロではありません。ましてや小さい赤ちゃんの身体を何度も手術させるのは、必要と分かっていても、親にはつらいものです。
 しかし、胆道閉鎖症のお子さんで、一回目の葛西手術で順調に胆汁が流れ、そのまま退院し、普段の生活に戻れるケースは、2/3程度と言われております。となると、やはり一部のお子さんは「胆汁が流れなくなり、ビリルビン値が下がらない、もしくは上がってくる」こととなり、肝硬変が進んでしまいます。そうなると、小児外科医としては「二度目の葛西手術をしては」と提案されることがあります。
 今では情報も発達し、胆道閉鎖症には「肝移植」という治療方法があると、胆道閉鎖症のお子さんの親ならほとんどの方が知っています。「二度目の葛西手術をするか」「移植をした方がいいのではないか」、迷いが出てくることが多いです。
 その時、移植外科医のセカンドオピニオンをするのも一つの方法です。

セカンドオピニオンのやり方を教えて下さい。

セカンドオピニオンのやり方を教えて下さい。

セカンドオピニオンには手順が有ります。

 セカンドオピニオンのやり方としては、
(1)まず、小児外科の主治医から「第二回の葛西手術をする意味」の説明を受け、きちんと理解しましょう。
(2)移植について、自分なりに情報収集をしましょう。場合によっては、移植を希望する医師や病院の情報も収集しましょう。
(3)(1)の内容を理解した上で、小児外科医に「移植外科医のセカンドオピニオンを聞いてみたい」と親の考えを伝えましょう。希望する病院や医師がありましたら、合わせて小児外科医に伝えましょう。
(4)移植を希望する病院や医師が特にない場合は、小児外科医の勧める移植病院や医師を考えましょう。
(5)小児外科医の方で、移植外科医と連絡を取ってくださるのか、ご自身で移植外科医と連絡をするのか、きちんと確認取りましょう。
(6)【ご自身で連絡をする場合】移植外科医の病院で「移植セカンドオピニオン」「移植相談室」などがある場合はそこに、ない場合は移植コーディネーターさんに連絡を取ってみましょう。ほとんどの移植外科はホームページに連絡方法があります。
   【小児外科医が連絡してくれる場合】小児外科医の指示に従って、セカンドオピニオンを受けましょう。
(7)移植外科医とセカンドオピニオンを行ったら、その結果、そしてご自身の考えを後日きちんと小児外科医に伝えましょう。

【参考】国立成育医療研究センター:セカンドオピニオン外来

セカンドオピニオンは何に気をつけるべきですか?

セカンドオピニオンは何に気をつけるべきですか?

最初の主治医、セカンドオピニオンの移植医と、患者家族の良い連携を意識しましょう。

 セカンドオピニオンで大切なのは、「小児外科医」と「移植外科医」、そして「患者家族」の連携です。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ではありませんが、お互い人間ですので、きちんと連携をとることをお勧めします。
 後日移植を受け、移植した病院が遠方の場合は、通院などを考えて、移植後の定期外来を元の小児外科医の病院で行う場合もあります。(その場合は移植外科医から小児外科医へフォローをお願いしてくれます)そういった可能性もありますし、移植後の体調不良な場合は遠方の移植病院ではなく、小児外科医の病院でフォローをお願いすることとなるので、そういった可能性を念頭に行動すると良いかと思います。
 また、セカンドオピニオンを経験したご家族から、以下のアドバイスを頂きました。

【東北地方Sさんより】
セカンドオピニオンで大事なのは
『セカンドピニオンする病院』
『頑固になるのではなく、ブレない』
『医療関係者以外にキチンと相談に乗っていただける人を見つける』
事だと思います。

 事前にセカンドオピニオンする病院/主治医の情報収集と、情報を柔軟に受け入れつつも意志を家族内で統一し、ソーシャルワーカーや患者家族での経験者談を参考にすることが良いのかもしれません。

胆道閉鎖症に漢方薬は使えますか?

胆道閉鎖症に漢方薬は使えますか?

一部の医療施設では、漢方薬を取り入れている所もあります。

 近年、胆道閉鎖症の治療にも漢方薬を取り入れる試みが増えてきています。小児外科学会では関連の研究会として、漢方薬研究会が立ち上がっており、そこで研究報告などがされており、「茵蔯蒿湯」という漢方薬が、胆汁の排泄に作用することが知られ始めてきたようです。
 患者の治療については、主治医とご相談の上、指示に従って下さい。

情報ライブラリ/学術情報/治療方法関連<内科>:小児における漢方治療とそのEBM
情報ライブラリ/学術情報/治療方法関連<内科>:胆道閉鎖症における茵蔯蒿湯術後早期投与の有用性に関する検討

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