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 患者の治療は主治医とよくご相談ください。

レシピエント移植コーディネーター 患者に寄り添い心の支援(2013.12.12)

レシピエント移植コーディネーター 患者に寄り添い心の支援

 肝移植など移植に面した時に、いろいろな相談に乗ってくださったり、医師と患者の連携を取って下さるのが、移植コーディネーターです。移植コーディネーターは縁の下の力持ち的な存在です。

レシピエント移植コーディネーター 患者に寄り添い心の支援(読売新聞_

退院後も継続的に
移植医との連携も大切だ(右はコーディネーターの上遠野さん、左は同久保田さん、中央は医師の笠原さん)(国立成育医療研究センターで) 移植手術を受ける患者・家族と医療者をつなぐ「レシピエント移植コーディネーター」の認定制度が設立から3年を迎えた。
 全国の病院に、103人の認定コーディネーターがいる。移植医療を受ける患者(レシピエント)に寄り添い、手術の前後だけでなく、退院後の心理的サポートを行うなどその役割は大きい。
 「何でも質問できて、いてくれるだけで安心しました」
 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で昨年、長男(1)が肝移植手術を受けた女性はそう振り返る。男の子は、急激に肝臓の機能が失われる劇症肝炎を患い、母親であるこの女性が肝臓の一部を提供した。
 入院前から相談に乗ってくれたのが、同センターのコーディネーター上遠野かとおの雅美さんだ。上京し心細さを抱えていた女性に、上遠野さんは何度も病棟を訪れて話を聞いてくれたという。女性は「移植手術はテレビの中の話だと思っていたから、分からないことだらけ。話したい時に近くにいてくれ、元気をもらいました」と話す。
 レシピエント移植コーディネーターは、日本移植学会を中心とする移植関連学会が2011年度から認定を始めた制度だ。日本臓器移植ネットワークにもコーディネーターはいるが、レシピエント移植コーディネーターは、移植手術を受ける患者側を支援する。
 患者や家族は、コーディネーターと長く交流を続けられることで、治療についてより理解できる。多くの人が関わる移植医療チームで、医療者とコミュニケーションをはかり、スムーズに治療を進めることもコーディネーターの大切な役目だ。
 制度ができる前は、それぞれの病院が独自にコーディネーターを置いたり看護師が併任したりと、個別に対応していた。移植を希望する患者が少なくない中、認定制度を作ることで、コーディネーターの資質向上を目指すことにした。
 初年度の11年度に認定を受けた上遠野さんは、もともと集中治療室の看護師。上遠野さんによると、親子間の移植の場合、自身も提供者として手術を受ける親が「自分のことはいいから子どもを救ってほしい」と話すケースが少なくないという。上遠野さんは「提供者の親御さんも患者さん。手術後はちゃんと休んでもらうなど、第三者が言わないと気づかないことも多い」と経験を話す。
 退院後に家族からの相談に乗ることも少なくない。もう一人のコーディネーター久保田智美さんは「1人の患者さん、家族に長く関われる。移植医療は精神的な負担が大きく、継続的な支えが必要」と話す。
 同センターでは、05年11月以降、250人以上の患者が肝移植手術を受けた。同センター臓器移植センター長の医師笠原群生むれおさんは「数多くの患者さん、家族の状況を把握しなければならず、大変だが、移植医療にとって欠かせない存在。移植でしか助からない患者さん、ご家族のためにこれからも力になれれば」と話している。(酒井麻里子)
【レシピエント移植コーディネーター】
 コーディネーターの認定を受けるには、医師や看護師などの国家資格を持ち、5年以上の臨床経験があることや、一定数の臓器移植コーディネーターの経験などが必要となる。
(2013年12月12日 読売新聞)

成育医療研究センターで国内初の肝細胞移植が実施されました(2013.8.23)

 国立成育医療研究センターで、今年夏、先天性代謝疾患を患った男児に肝細胞移植が実施されました。国内では初の試みです。
生後11日男児に肝細胞移植 成育医療センター、国内初(朝日アピタル)

 国立成育医療研究センター(東京都)は23日、生体移植で余った肝臓から肝細胞を分離し、重い肝臓病の生後11日の赤ちゃんに移植する治療に成功したと発表した。第三者からの肝細胞の移植は国内初で、海外でも約30例程度という。新生児は血管が細く詰まりやすいため肝移植は難しく、他に治療法がなかった。
 患者は先天性代謝異常症の男児。肝臓の酵素が欠けているため、有毒なアンモニアを分解できない。血中のアンモニア濃度が高くなると脳に障害が出る。8万人に1人の割合で発症。生存率は10~20%とされる。
 今回移植した肝細胞は、生体肝移植で提供者となった成人からもらった。移植する際に余った肝臓の細胞を分離し、凍結して保存。肝細胞はへそ近くに埋めたカテーテルから注射した。新生児はへその緒の名残で、へその血管が肝臓とつながっているという。

ニホンウナギから人類初のビリルビンセンサー(2013.6.14)

ニホンウナギから人類初のビリルビンセンサー

 ウナギの筋肉に緑色蛍光タンパクの存在が2009年に発見されていたのですが、どうして緑色に光るのか、今までわかっておりませんでした。理化学研究所では、その緑色に光る仕組みを研究した結果、「ビリルビン」に反応して光るということを突き止めました。このビリルビンセンサーを応用した検査キットなどが将来開発されるかも知れません。
理研、ニホンウナギから蛍光性の「ビリルビン」センサを発見(マイナビニュース)

 理化学研究所(理研)は6月14日、ニホンウナギの筋肉に存在する緑色蛍光タンパク質が、バイオマーカーとして有名なビリルビンと結合して蛍光を発する仕組みを発見し、それを応用して、ヒトの血清などに含まれるビリルビンを直接的に定量する蛍光検出試薬(ビリルビンセンサ)を開発したことを発表した。

ニホンウナギから人類初のビリルビンセンサー(理化学研究所)

 理研の研究チームは、その緑色蛍光タンパク質に対応する遺伝子を突き止め、「UnaG(ユーナジー)」と名付けました。また、UnaGの蛍光の仕組みを調べた結果、UnaGに低分子化合物が特異的に結合して初めて蛍光を出すことが分かりました。さまざまな哺乳類サンプルを使って探索試験を行ったところ、「ビリルビン」がその低分子化合物であることが分かりました。

臓器移植後の出産に指針 免疫抑制剤の処方、学会作成へ(2013.5.12)

臓器移植後の出産に指針 免疫抑制剤の処方、学会作成へ

 胆道閉鎖症から肝臓移植をした女性患者さんは、将来出産あきらめる必要はありません。元気で赤ちゃんを産んだ方もおられます。
臓器移植後の出産に指針 免疫抑制剤の処方、学会作成へ(朝日アピタル)

臓器移植を受けた女性が安心して妊娠・出産できるように、移植医療のルール作りの中心となる日本移植学会が初の指針作りに乗り出した。移植後に飲み続ける免疫抑制剤の影響で流産した可能性が考えられる事例もあり、妊娠・出産は難しいとされていたが、薬によっては量や時期を調整すれば可能という。移植学会は4月に指針の作成委員会を設置。今年度中に暫定版をまとめる。
 指針では、胎児への影響を考慮した薬の処方、妊娠に適した移植後の経過時期、母体の体調管理などを示す。母乳は与えてよいかなど出産後の注意点も盛り込む。今後、妊娠・出産した移植患者の追跡調査も始める。移植学会理事の剣持敬・藤田保健衛生大教授は「移植後の人生のサポートを手厚くする必要がある」と話す。

医療立国 文化を尊重 エジプトに生体肝移植技術(2013.4.19)

医療立国 文化を尊重 エジプトに生体肝移植技術

 日本の小児肝臓移植第一人者の笠原群生先生、エジプトでも多くの子どもの命を助けております。
医療立国 文化を尊重 エジプトに生体肝移植技術(産経ニュース)

□国立成育医療研究センター 笠原群生・臓器移植センター長
 平成9年の臓器移植法施行から16年。臓器提供のハードルを下げた22年の改正法施行で脳死移植は年間40件台に増えたが、それでも脳死下の臓器提供はこれまでに計200件強。年間数千件の米国などを考えれば、国内で脳死移植が浸透しているとは言い難い。
 このため、日本では生きている人から臓器を取り出し患者に移植する「生体移植」が、腎臓や肝臓などの臓器で多数行われ、技術も極めて高いレベルを誇るようになった。その技術はさまざまな事情から脳死移植ができない国々の注目を集めている。宗教上、心臓死のみが人の死とされるイスラム諸国もその一つだ。
 「自分の臓器を分けてでも、自分の子供や家族を助けたいという気持ちは同じ。日本の技術が貢献できるなら、という思いがあった」
 国立成育医療研究センターの笠原群生(むれお)・臓器移植センター長(47)は、平成13年からエジプトで生体肝移植手術を行うとともに、現地の医師に技術指導を続けている。年数回エジプトに渡航し、これまでに手がけた手術は約150例。うち約50例は日本でも評価の高い子供への手術だ。
 肝臓は他の臓器に比べて軟らかく、繊細で扱いが難しい。手術は半日以上かかることもある。だが、イスラム圏は午後を中心に1日5回の礼拝が欠かせない。現地の文化を尊重するため、手術は明け方から始め、礼拝との折り合いをつけるなどの工夫もこらす。
 現地の技術は向上してきたが、それでも課題は山積している。特に「子供への診療技術が進んでおらず、移植にたどり着くまでに亡くなるケースも多い」という。海外への連携・支援強化を進める国立成育医療研究センターとしても、今後は診療面の支援を行う方針だ。

進化する3Dプリンター、内臓模型で手術の予行が可能に(2013.4.9)

進化する3Dプリンター、内臓模型で手術の予行が可能に

 遠くない未来に病状や手術の説明に立体模型が使われ、患者側もどんな症状なのか?どういう治療を施されるのか、より理解しやすくなるかもしれません。
進化する3Dプリンター、内臓模型で手術の予行が可能に(ザ・ウォール・ストリート・ジャーナル)

 日本のある病院の外科医らは最近、親の肝臓を子供に移植するにあたってジレンマに直面していた。移植する肝臓の機能を維持しつつ、子供の小さな腹腔(ふくくう)に収まる大きさにするには、正確にどのように削ればいいかということだ。
そこで彼らはまず、オフィスプリンターに似た機械で臓器提供者の肝臓の3次元(3D)モデルを作製し、それを試しにカットした。このモデルのおかげで医師はどこを削ればいいかを見極めることができ、先月行われた移植手術は無事に成功した。

夢の治療が始まった ~免疫を制御する“医療革命”~(2013.3.14)

 NHKのクローズアップ現代で、「夢の治療が始まった ~免疫を制御する“医療革命”~」が放送されました。北海道大では、すでに4例の方が、新しい手法によって肝臓移植後の免疫寛容となられてます。
夢の治療が始まった ~免疫を制御する“医療革命”~(NHKクローズアップ現代)

「自己」と「他者」を巧みに見分けて私たちの体を守る免疫。今、その免疫を制御する治療が、医療に革命的な変化をもたらそうとしている。異物を攻撃する免疫細胞の働きを、部分的に制御する「免疫寛容(めんえきかんよう)」と呼ばれる治療方法だ。北海道大学の移植医療チームは、2年前から始めた新しい生体肝移植法で、「免疫寛容」を実施。このたび世界で初めて、4名の患者の“免疫抑制剤ゼロ”を実現した。この治療は今後、臓器移植の可能性を広げるだけでなく、iPS細胞などの再生医療による移植にも応用できると期待が高まっている。更に「花粉症」や「食物アレルギー」「がん」など、根治が難しい身近な病気を治す方法としても、免疫の制御による治療が模索されている。医療の最前線に密着し、免疫の不思議と新たなアプローチで病気に挑む最新治療に迫る。

ひと:笠原群生さん 小児肝臓移植の第一人者(2013.3.13)

ひと:笠原群生さん 小児肝臓移植の第一人者

 胆道閉鎖症のお子さんの多くは肝移植となることがあります。小児肝臓移植を多く手掛けている笠原先生の元へは、遠くエジプトからも患者さんがやってきております。
ひと:笠原群生さん 小児肝臓移植の第一人者(毎日新聞)

国立成育医療研究センターの臓器移植センター長の笠原群生さん=東京都世田谷区で2013年2月8日、梅村直承撮影 昨年、小児(18歳未満)への肝臓移植46例に携わった。これは世界最多の症例数だ。国内初の6歳未満から提供された移植もあった。「一人一人のお子さんを助けることを積み重ねた結果です」。健康な人にもメスを入れる臓器提供によって成立する医療だけに、「悩みながらも、治すことに集中することが仕事」と話す。
 循環器内科医だった父の背中を追って医師になり、96年に京都大で移植医療を志した。これまでかかわった肝臓移植は約1500例、小児だけでも約700例という世界一の実績を持つ。
 移植医療は昼夜を問わない患者のケアが求められ、医師の負担は大きいが、「元気になった子どもが成長する過程を一緒に歩めることは、非常に幸せ」と顔をほころばせる。その一方、「9割の医療」と表現する。1割の患者は亡くなるからだ。ロッカーの扉に亡くなった患者らの写真を張っている。「成功率100%を目指す精進を続けねばならない。それを忘れないための写真です」
 国立成育医療センター(現成育医療研究センター)に赴任したころ肝臓移植をした女性が、近く出産する。「つながる命」を目の当たりにし、提供臓器に込められた思いを生かす責務を改めてかみしめる。他人の臓器に頼る移植医療は、将来はなくなる方向に進んでほしいと願う。しかし、「今は必要とされ、だれかがやらなければならない。だからこそ、いい医療を提供したい」。【永山悦子】
 【略歴】笠原群生(かさはら・むれお)さん 「10割の医療」を追求する、小児肝臓移植の第一人者。前橋市出身、群馬大卒。05年に国立成育医療センター(東京都世田谷区)へ。11年から臓器移植センター長。47歳。

肝移植拒絶反応、薬飲まず抑制 北大・順大チーム開発(2013.3.2)

肝移植拒絶反応、薬飲まず抑制 北大・順大チーム開発

 免疫抑制剤を飲まずに免疫寛容となるようにする手法を、北海道大と順天堂大の医療チームが開発しました。
肝移植拒絶反応、薬飲まず抑制 北大・順大チーム開発(朝日新聞アピタル)

 臓器移植後に起きる拒絶反応を免疫抑制剤を飲まずに抑える手法を、北海道大と順天堂大のチームが開発した。患者と臓器提供者の免疫をつかさどる白血球を操作した。生体肝移植を受けた10人に行い、4人が最長で半年間、薬を中止し、6人で減量することに成功した。新たな治療法として確立すれば、患者の負担は大幅に減らせると期待される。

第31回「心に残る医療」体験記コンクール【当たり前が幸せ】(2013.2.16)

第31回「心に残る医療」体験記コンクール【当たり前が幸せ】(2013.2.16)

 読売新聞の「心に残る医療」体験記コンクールの「一般の部・入選」の作品です。胆道閉鎖症のお子さんが、葛西手術、肝移植を経て元気に過ごす「当たり前」の日々が幸せということを綴っています。
読売新聞Yomi Dr.:第31回「心に残る医療」体験記コンクール【当たり前が幸せ】

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