こちらでは、肝臓の移植をした後の合併症について書いております。どんなに簡単な手術でもリスクはあり、合併症などが起こりうる可能性はゼロではありません。正しく情報を収集し、必要以上に不安がることはありません。
私たちは医師ではないので、簡単な説明しかできませんが、もっと詳しく知りたい方は、国立成育医療研究センターの臓器移植センターが刊行している【こどもの肝移植ハンドブック2015年版】をご覧ください。▶国立成育医療研究センター臓器移植センター
患者の治療は主治医とよくご相談ください。
移植後は胆管炎は起こりますか?
移植後は胆管炎は起こりますか?
頻度は下がると思われますが、まったくのゼロではありません
胆道閉鎖症のお子さんは、自己肝では胆管炎を心配する日々が続いたと思います。肝臓移植すると、ドナーから肝臓のほかにも、肝臓から出ている血管や胆管も一緒に移植されます。ですので、胆汁の通り道は、移植された肝臓から胆管を経て、腸に流れ込むという本来の姿になります。胆管も葛西手術のように、小腸の一部を肝臓に無理やりくっつけたものではなく、肝臓から出ている胆管ですので、そういう意味では、葛西手術後の上行性胆管炎が発生する頻度はほぼなくなります。しかし、稀に胆管が狭くなったり(胆管狭窄)、胆管炎が起きる可能性があり、ゼロとは言えません。普通の人と同じ確率での発生(つまり確率は低い)と考えて良いかと思います。
EBウィルスとはなんですか?
EBウィルスとはなんですか?
EBウィルス(Epstein-Barr virus)とは、エプスタイン・バーウイルスと言い、ヘルペスウィルスの一種です。このウイルスは日本では成人の9割がすでに感染して持っているウイルスと言われております。普段は免疫によって抑えられておりますが、排除されることなく体内に潜んでおり、免疫が低下した時などに暴れだします。多くの人は感染してもあまり症状らしき症状がなく、知らないうちに感染してキャリアになっている場合が多いようです。ですので、生体肝移植した時にはすでにドナーがEBVの保有者ということも多くあります。
このウイルスが大暴れしてしまうと、悪性リンパ腫(PTLD)という病気になってしまいます。臓器移植して、免疫抑制剤を飲んでいると、このEBVが抑えられず、暴れてしまってリンパ腫となる確率が1.5〜5.0%あると言われております。そのため、臓器移植をして免疫抑制剤を飲んでいる方には、EBVの量を測定し、その量次第で免疫抑制剤を調整して、増殖を未然に防ぐ必要があります。
EBVはドナー肝と一緒にレシピエントに感染したり、乳幼児期に感染することが多いですが、EBV測定をすることで免疫抑制剤の量を調整し、予防策がたてられてます。(*すべての移植施設でEBV測定を行なっているわけではありません。詳しくは主治医にお尋ねください。)