胆道閉鎖症2 of 胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患 母の会「肝ったママ’s」

胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患 母の会

胆道閉鎖症

胆道閉鎖症とは新生児1万人に1人の割合で生まれてくる原因不明の病気です。
胆汁が流れず、ビタミンKの吸収が悪くなり、時には頭蓋内出血の合併症などを起こす大変怖い病気です。
外科手術でしか改善する方法はなく、治療が遅れると移植になる場合もあります。
こちらでは胆道閉鎖症について、情報を載せております。

◆どうしたら早期発見できるの?

この病気は黄疸・淡黄色便または灰白色便・ビリルビン尿など、目に見える症状が出ますが、
母乳性黄疸、乳児嘔吐下痢症(ロタウイルス・ノロウイルス)などと間違えられやすいのも事実です。
十数年前から松井陽医師(現・国立成育医療研究センター病院長)が、便色カラーチャートを載せたカード(便色カード)を考案し、一部の自治体や海外で導入され、一定の成果を上げました。その後、便色カードに改良が加えられ、2012年度より日本全国でも母子手帳へ収載され、医療従事者と保護者がカードを用いて便の色を観察することによって、早期発見されるようになりました。

また、ほかにもUSBA測定検査と言う、新生児の尿を採取し、分析する検査もありますが、検査結果まで出るのに時間が1週間〜10日間ほどかかるのと、擬陽性の場合もあり、まだ検査としての成果は確定されておらず、導入している自治体も少ないのが現状です。

便色カードは導入コストが比較的安価で、またツールとして一般の保護者でも使用できること、
便色を観察することによって肝疾患のみならず、消化器系疾患への注意喚起の効果もあることから、
現在において、胆道閉鎖症を早期発見する最も有効な手段であると私たちは思います。


◆黄疸は「新生児黄疸」や「母乳性黄疸」じゃないの?

胆道閉鎖症の子どもは皮膚の色が黄色くなったり、白目の部分が黄色味を帯びてくる「黄疸」が出ます。
しかし、難しいのは、この胆道閉鎖症による「黄疸」は、「新生児黄疸」や「母乳性黄疸」と見分けがつきにくいのです。

「新生児黄疸」や「母乳性黄疸」とはなんでしょうか?

赤ちゃんがまだ母親の体内にいた時、
胎盤を通して酸素を取り込むために沢山の赤血球を必要とします。
(注:赤血球=酸素を運ぶ働きがあります。)
しかし、赤ちゃんが産まれて、自力で呼吸を始めると、肺から酸素を取り込めるようになるので、
それほど赤血球は必要なく、余分な赤血球は破壊されます。
そして赤血球が破壊される時に「ビリルビン」が出ますが、肝臓の働きがまだ未熟なので排出されず、
血液の中に溶けこみ、皮膚が黄色味をおびて、黄疸となります。
これが「新生児黄疸」と呼ばれるものです。これは生後2日~4日にかけて見られます。
大抵の赤ちゃんは、肝臓が動くようになり、徐々に黄疸が引きますが、あまりに黄疸の数値が高いと、
核黄疸といって、脳に損傷をあたえるので、光線療法や交換輸血で治療をします。

「母乳性黄疸」は「新生児黄疸」とはまた別のもので、母乳を飲んでいる赤ちゃんに出ます。
母乳の成分に含まれる脂肪酸には、ビリルビンを水溶性に変える酵素の働きを抑制する働きがあります。
(ビリルビンを水溶性に変えることによって尿から体外へ排出します。)
その為、母乳を飲んでいる子は、生後一週間から一ヶ月にかけて、黄疸が出やすくなっています。
長引くときは生後二ヶ月まで黄疸が続く場合もあります。これが「母乳性黄疸」です。
母乳性黄疸は特に治療の必要はないのですが、
胆道閉鎖症や肝臓疾患からくる病的黄疸となかなか見分けがつきにくいのです。
胆道閉鎖症の発見が遅れる原因の一つに、
「病的黄疸を『母乳性黄疸』と間違われた」ことがよくあげられます。

だからと言って、「母乳が良くない」というわけではありません。
しかし、一部では「母乳至上主義」にも近い考えがあり、ミルクを真っ向から否定する人もいます。
しかし、体調などの関係で母乳の出が悪い方も中にはおられます。
母乳で哺乳しないと母親失格などと思い込む必要はないと思います。
母乳は確かに栄養が良いのですが、ビタミンKにつきましては、母乳哺育ですと、
不足する可能性があります。
その為、現在ではビタミンK2シロップを生後二回、一ヶ月健診の時に一回、
計三回赤ちゃんに投与しています。

【もっと詳しく知りたい方は▶】肝ったママじゃーなる:赤ちゃんの黄疸

◆目やおしっこはどんな色になるの?

黄疸は肌の色だけに出るわけではありません。
黄疸の色のもととなるビリルビンが血液によって体内を駆けまわるので、
白目の部分が黄色くなること(黄染)があります。
また、尿にビリルビンが排出されるので、尿が黄色くなることもあります。
オムツなどに付いた尿が時間が経過した後、うっすらと茶色っぽくなっていたり、
黄色くなっていた場合は注意が必要です。
(注:赤ちゃんの尿はほぼ無色透明です。ただし、脱水気味の時は尿の色が濃くなりますのでご注意下さい。
また尿の色で代謝疾患・腎臓疾患が分かる時があります。おかしいと思った場合はかかりつけの小児科医に相談してください。)

【もっと詳しく知りたい方は▶】肝ったママじゃーなる:赤ちゃんの黄疸

◆どうやって「母乳性黄疸」と「病的黄疸」を区別するの?

区別するには、採血するのが最もはやい方法です。
採血して、直接ビリルビン(D-Bil*)の数値を測れば、病的黄疸か母乳性黄疸かがある程度わかります。
直接ビリルビンの数値が高いと、肝臓・胆道系疾患が考えられるからです。
(ちなみに産院などで、新生児のおでこにつけて黄疸を測るのは総合ビリルビン(T-bil*)ですので、
それだけでは、黄疸が母乳性黄疸なのか、病的黄疸なのかは区別できません。)
母乳性黄疸ではないと分かれば、胆道閉鎖症や新生児肝炎等の肝疾患を疑うので、
早急に小児外科のある総合病院/大学病院に搬送し、精密検査をうけます。

ただ、残念ながら生後まもない赤ちゃんを採血してくれる医師はなかなかおられません。
黄疸が長引き、それが不安で小児科医を受診しても、大抵は「母乳性黄疸です」と言われて、
「もう少し様子を見ましょう。」と帰されることが多いと思います。
肝ったママは、黄疸が長引き、ウンチの色が薄いと感じた場合は、
「ウンチのついたオムツを持って受診してください」と呼びかけてます。
黄疸だけでは「母乳性黄疸」と判断されることが多いですが、これに「ウンチの色」が怪しい?となれば、
小児科医は「胆道閉鎖症・新生児肝炎」を念頭に診察してくださる可能性が高まるからです。
また、気になる方は、「肝ったママ式チェックシート」を持って小児科医を受診してください。

健康な赤ちゃんは、赤みを帯びた白い肌です。だから「赤ちゃん」と言うのですね(^^)
黄疸は毎日見慣れてくると、なかなかわかりにくいのですが、産院での健診の時などに、
他の赤ちゃんと肌の色を見比べてみるのもいいかもしれません。

【もっと詳しく知りたい方は▶】肝ったママじゃーなる:赤ちゃんの黄疸

◆手遅れになるとどんな合併症がおこるの?

胆道閉鎖症は、胆汁がうまく腸まで流れないので、脂溶性ビタミンの吸収が困難になります。
「脂溶性ビタミン吸収障害」になると、ビタミンA.D.E.Kなどが吸収されなくなります。
その中でも「ビタミンK」の吸収が少ないと、「ビタミンK欠乏症」になり、内出血を起こしやすくなります。

【もっと詳しく知りたい方は▶】肝ったママじゃーなる:怖い合併症