胆道閉鎖症3 of 胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患 母の会「肝ったママ’s」

胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患 母の会

胆道閉鎖症

胆道閉鎖症とは新生児1万人に1人の割合で生まれてくる原因不明の病気です。
胆汁が流れず、ビタミンKの吸収が悪くなり、時には頭蓋内出血の合併症などを起こす大変怖い病気です。
外科手術でしか改善する方法はなく、治療が遅れると移植になる場合もあります。
こちらでは胆道閉鎖症について、情報を載せております。

◆「ビタミンK欠乏症」になるとどうなるの?

ビタミンKが不足すると、どういったことが起きるのでしょうか?
一番怖いのは「内出血」です。
特に赤ちゃんの場合は脳の血管が細いので、脳内出血のリスクが高まります。
また、慢性的に不足するとカルシウムが定着しにくいので、
骨がもろくなり骨粗鬆症や骨折の危険性があります。
一般的に、赤ちゃんには母乳での哺育が望ましいとされますが、母乳の中にはビタミンKは不足しがちで、
また、産まれたばかりの赤ちゃんの腸内細菌は、まだ必要なビタミンKを充分に作り出せない場合もあるため、
現在日本では、出生後から一ヶ月健診にかけて、経口によるビタミンK2シロップの三回投与を国で義務付けられております。
粉ミルクには人工的にビタミンKが配合されているので、
完全母乳哺育の赤ちゃんよりはビタミンKの不足の心配は少ないと言われます。
2009年に赤ちゃんにK2シロップを投与していないことにより、脳内出血をして亡くなった事件がおこりました。
(山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故などで検索すれば、内容がわかります)
こちらの事件自体に関しましては、肝ったママの活動とは関係有りませんので、
詳しくは述べませんが、
K2シロップ未投与によるリスクが実はとても高いことだということを知ってもらいたいと思います。

【もっと詳しく知りたい方は▶】肝ったママじゃーなる:怖い合併症

◆今まで普通の便だったのに、急に白くなった!

胆道閉鎖症は、生後すぐ、もしくは生後から少しずつ進行する病気なので、
昨日まで普通だった赤ちゃんの便が、急に真っ白になった場合は、
「ロタウイルス」や「ノロウイルス」によって引き起こされる、「乳幼児嘔吐下痢症」の可能性があります。
激しい嘔吐や白い便・下痢が引き起こされる病気です。
胆道閉鎖症とは違いますが、こちらも急激に脱水等を引き起こし重症化ますので、
早急に小児科医を受診してください。
現在は「ロタウイルスワクチン」もあります。ワクチン接種することで重症化を防げます。

【参考】

◆胆道閉鎖症が心配、受診の時何に注意すればいいの?

もし、お子さんの「便の色が薄い」「黄疸がひどいみたい」「おしっこが濃い」など、
気になる症状が出た時は、「うんちのついたオムツ」を持って小児科を受診してください。
2012年4月以降の母子手帳をお持ちの方は、母子手帳内の便色カードと見比べて、
「便の色がうすい」こと、その他気づいた症状などを医師に伝えて下さい。
たとえ、一ヶ月健診の時は異常がなくても、その後変化があった場合は、
次回の健診まで待たずに受診することをお勧めします。
2012年3月以前の母子手帳には、地域によっては「便色カード」はありません。
肝ったママホームページの「便色カード」のページにある台湾の便色カードを参考にしてください。
モニターによって色の発色が変わるので、「あくまでも参考程度」にしてください。
トップページにある肝ったママ式チェックシートをダウンロードして当てはまる症状にチェックし、
「うんちのついたオムツ」とチェックシートを持って、小児科を受診してください。

◆どんな病院を受診した方がいいの?

胆道閉鎖症は、「小児外科」で治療する病気です。
一番の理想は「小児外科」で診てもらうことですが、「小児外科」は大抵大学病院か総合病院にしかありません。
「大学病院」や「総合病院」で出産していれば、主治医に診てもらい、転科紹介してもらえますが、
紹介状なしに直接小児外科を受診すると、大抵「初診料」を取られます。(5,000円〜幅はあります)
受診のおすすめとしては、
 小児外科>小児外科がある総合病院・大学病院の小児科>小児科クリニック
の順です。小児外科のある病院は、日本小児外科学会のホームページで一部リンク紹介してます。

【参考】日本小児外科学会:小児外科施設リンク集

◆胆道閉鎖症はなぜ発覚・診断しにくいの?

初めて子育てをする母親にとっては、黄疸はどの状態が異常なのか?
便の色は何色がおかしいのか?まったくわからないことばかりです。
巷にある育児雑誌に赤ちゃんの病気についての説明等はありますが、
正直2~3時間置きの授乳、その合間のオムツ替え等々すべてが初めての母親には、
あまり育児雑誌をのんびり読む余裕はないと思います。
そうすると「一ヶ月健診」というのは、一つの重要な機会だと思います。
しかし、一ヶ月健診の頃はまだ母乳性黄疸が出ている時期であり、
完全ミルクでもない限り、仮に赤ちゃんに黄疸があったとしても、
ほとんどの小児科医は「母乳性黄疸でしょう」と言う診断を下すと思います。
そして便の色が胆道閉鎖症を疑われるような薄い色であっても、
「白」ではないということで見落とされる可能性もあります。
親もそんなものだと思うと、安心してしまいます。
そして次の「三ヶ月健診(もしくは四ヶ月健診)」まで、よほどの事がない限りは、
親も小児科医に赤ちゃんを見せることはほぼ皆無と言っていいでしょう。
しかし、この「三ヶ月健診(もしくは四ヶ月健診)」までの間に胆道閉鎖症のお子さんは、
胆道が閉鎖していったり、胆汁が腸まで排泄出来ず、便の色が薄くなっていったり、
皮膚が日に日に黄色くなり、白目の部分まで黄色くなったりします。
ところが「毎日観ている母親」には、
そういう変化を「目の慣れ」が邪魔をして見逃してしまう…そういう可能性も非常に高いです。

では、おかしいと思い、病院に連れて行って、すぐに「胆道閉鎖症」との診断が下るのでしょうか?
残念ながらそれはありません。
大抵の方は、産まれたばかりの赤ちゃんの様子が気になると、
産まれた産科が入っている総合病院の小児科や、近所の小児科クリニックに行かれると思います。
小児科医が「胆道閉鎖症」について詳しい先生や臨床経験のある先生なら、
黄疸の状態、便の色を観察すると思います。

しかし、この時期は「母乳性黄疸」の出る時期でもあり、
また便の色についても、医師と親の間で共通の「基準」となる色がなく、
難病ゆえ、臨床経験のない医師が多く、医学書の「灰白色便」が症状だと思い込み、
薄い黄色や薄い緑色の便を医師も見逃してしまう可能性もあります。
胆道閉鎖症は「小児外科」で治療する病気なので、
町の「小児科医」で見落とされる可能性が高いのです。
その為に、医師と親の共通基準である「色」を便色カードによって補おうとして、
2012年度から便色カードの導入が決められました。

発覚しづらく、そして診断しにくい、これがこの病気の落とし穴です。

【もっと詳しく知りたい方は▶】肝ったママじゃーなる:胆道閉鎖症の落とし穴